キヤノン「PIXUS MP990」
外観:ミドルレンジより少し大きくなった
MP990の外観は、普及機のMP660と同様のデザインを採用しながらも、サイズが幅470×奥行き385×高さ199mmと、幅/奥行き/高さがすべて2cmほど大きくなっている。また重量も約2kg増えた10.7kgだ。
フィルム読み取りには透過原稿用の光源が必要になるが、その装置を組み入れただけでは高さが増すのはともかく、全体がひとまわり大きくなることはない。透過原稿用光源の追加とともに、スキャナー部のイメージセンサーをCISからCCDに変更したことと、インク構成がM660のCMY+染料・顔料の黒という5色に、グレーが加わって合計6色になったことなどが関係しているのだろう。
本体に加えて、操作部の液晶ディスプレーも3.0インチから3.8インチと大きくなった。操作ボタンの配置や大きさはほぼ同じで、操作性はそれほど大差がない。また、給排紙トレイの構成やセット枚数もMP660と同様だ。
印刷・スキャン:昔の35mmフィルムを取り込める!
インクが5色から6色になって写真出力はどれぐらい変わったのだろうか? MP660のときと用紙や設定などをそろえて出力してみたが、正直なところ差異には気が付かない。
しかし、同社純正の超高品質の写真用紙に出力したものを詳細に見比べると、MP990のほうが中間階調が引き締まって見える。その分、グレーインクの消耗も激しいのだが、やはり効果が出ているのだろう。展示用写真などを印刷する場合は、より高画質なMP990を使うべきである。
MP990で気になるのは、やはりフィルム原稿の読み取りだろう。イメージスキャナー部の原稿台カバーをあけると、その裏に原稿押さえのクッションがある。このクッション部分のパネルを取り外すと、原稿カバーの裏に細長い光源が隠されているのが見える。また、パネルの裏には、35mmフィルムをセットできるフィルムフォルダーが格納されている。
フォルダーにセットできるのは、スリーブ状(6コマで切断したもの)の35mmフィルム(リバーサルおよびネガフィルム)と、スライドマウント4コマ分だ。フィルムをセットして、原稿台の定位置に合わせてボタンを押すと、自動的にプレビューが実行されて、コマを選んで印刷できるようになる。
ただし、MP990の操作パネルからでは、フィルムからL判やハガキ用紙などへの直接印刷のみとなる。この場合、簡単なトリミングや色補正は可能だが、フィルム読み取り解像度が低いため、大きく引き伸ばすのには無理があるだろう。実用的なのは、ハガキあるいは2L判サイズぐらいまでだ。
一方、専用ユーティリティをインストールしたパソコンからは、最高4800dpiでの詳細なフィルムスキャンが可能だ。フィルムの色あせ補正やゴミ除去機能もあり、高品質なイメージを取り込める。フィルムからの簡易な写真印刷は複合機側、デジタルデータ化が目的ならパソコン側で取り込むのがオススメだ。
インクジェット複合機は、どちらかといえば写真印刷やカラーコピー機としての側面が注目されることが多い。しかし、35mmフィルムサイズとはいえ、透過原稿が読み取れるスキャナーがあると、撮影済みのフィルムからの焼き増しや、パソコンへ取り込んでの管理など、写真に関してトータルに使えると実感できる。
写真印刷というと、つい大判出力が可能なプリンター専用機に目が行ってしまうが、今までに撮り貯めたフィルムやプリント写真を活用したい人は複合機のMP990にも注目しておこう。
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