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2010年末発売 目玉はOutlook

MS担当者に聞く、次期「Office for Mac」はどうなる?

2009年11月21日 12時00分更新

文● 宮本朱美

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 20日、米マイクロソフトよりWindows向け「Microsoft Office 2010」のパブリックベータ版が登場して、にわかにOfficeが注目を集めている(関連記事)。

 では、Mac版Officeは次バージョンでどう進化するのだろうか? 20日に開かれたメディア向けミーティングにて、米マイクロソフトのMacintoshビジネスユニット ゼネラルマネージャーであるエリック・ウィルフリッド氏と、Macintoshビジネスユニット マーケティング&プランニング ディレクターのパトリック・J・フォックス氏に話を聞いた。

米マイクロソフトのエリック・ウィルフリッド氏(右)と、パトリック・J・フォックス氏(左)

米マイクロソフトのエリック・ウィルフリッド氏(右)と、パトリック・J・フォックス氏(左)


目玉は「Outlook」の採用

 まず8月に明らかになっている基本情報を整理しておこう(関連記事)。Mac版のMicrosoft Officeの次期バージョンと現行バージョンの最も大きな違いは、メール/スケジュール管理ソフト「Entourage」がなくなり、代わりにまったく新しいソフト「Outlook」が加わる点だ。

 Mac版Outlookは、今までのCarbonアプリではなく、Intel Macに最適化されたCocoaアプリになり、データベースを作り替えてより高速に安定して動作するという。

 また、Windows版のOutlookにあってMac版のEntourageになかった機能「Information Right Management(IRM)」に対応するのも大きい。この機能を使うと、メールの印刷や転送、全員への返信などの許可/不許可を送信者が設定できるので、メールの機密性を高められる。ただしIRMを使用するには、Microsoft Exchange ServerまたはSharepoint Serverが必要だ。

 Windows版Officeとの互換性を高めるため、Office 2008 for Macでは削られたVisual Basicへの対応が復活するのも特徴となっている。以下、メディア陣との主な質問のやりとりをまとめた。



Q. 以前はWindows版とMac版のOfficeのユーザーインターフェースは共通だったので、片方の使い方を覚えればもうひとつのOfficeも自然に使いこなせました。ところが最新版のOfficeでは、Mac版とWindows版でユーザーインターフェースが大きく異なるため、両方使うユーザーはどこに何のメニューがあるのか覚えるのに倍の時間がかかります。今後は共通化を図るのでしょうか?

A. Office 2008 for Macでは、Windows版のリボンインターフェースの代わりにグラフィカルなツールを表示するなど、なるべく似た使い勝手を実現するようにしていますが、Macならではの使い勝手のよさを追求するためにWindows版をそのまま移植はしていません。

 次期バージョンのインターフェースがWindows版と同じになるかどうかはまだ検討中ですが、ユーザーの意見を参考にどの機能を取り入れるか取捨選択中です。いずれにせよ、Mac OSとの親和性を損なうことはしないようにするつもりです。


Q. iPhone用のMS Officeを開発する予定はありますか?

A. 今日は特に発表できることはありません。


Q. Word、Excel、PowerPointはCocoaアプリに作り直しますか?

A. 今のところその予定はありません。


Q. Windows Media Player for Macで、DRMに対応する予定は? また、Windows Messenger for Macで、音声や映像によるチャットを可能にする予定はありますか?

A. ユーザーからの要望が多い機能なので、考えてはいます。


Q. 将来実用化されるウェブアプリ版のOfficeはMacでも使えるのですか?

A. 現行のOffice 2008 for Macでも、「Microsoft Document Connection」という付属アプリを使って、インターネット上のOffice LiveやSharepointサーバーに保存したファイルをWindows版Officeと同じように編集できます。ウェブアプリ版のOfficeも、MacのSafariやFirefoxから利用できるようにする予定で、現在プレビュー版を公開しています。

Office 2008 for Macのシールがペタペタ貼られた、エリック氏のMacBook Pro。花くまゆうさく氏のイラストを指して「このキャラが気に入ってます」とのこと

 Mac版のMicrosoft Officeの次期バージョンは、英語版が2010年の冬期ホリデーシーズンに向けて発売される予定だ。日本語などほかの言語版は、2010年内にリリース予定となっている。

 ちなみに現バージョンの「Office 2008 for Mac」では、最大1万円がキャッシュバックされるキャンペーン「キャッシュの恩返し」を1月6日まで実施している(関連記事)。


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