無線LAN、スマートフォンを
組み合わせたハイブリッド環境
僕がドコモのモジュールを選択したもう1つの理由は無線LANサービスだ。
イー・モバイルと異なり、ドコモの場合は別途プロバイダ契約が必要になる。ここでドコモの「mopera U」のU定額HIGH-SPEEDプランを選ぶと525円かかるものの、ここに315円の「公衆無線LANオプション」を付けると、「Mzone」の公衆無線LANサービスが利用可能になる。
Mzoneと言えば11月からスターバックスコーヒーの店舗内でサービスをスタートしている。L-05Aを使い始めたのは6月末だったが、自分が使っているプランで、よく利用する店舗の無線LANが利用できるようになるとは、なかなかうれしいものだ。
無線LANが利用できれば上で述べたとおりバッテリーも節約できるが、それでも1日出先で仕事をするには不安が残る。そこでメールチェックやちょっとしたメモ、スケジュール確認などの作業をスマートフォンに任せて補っている。僕の場合はiPhoneだが、Android端末やWindows Mobile機でももちろん同じ事ができる。
メールもスケジュールも連絡先もGmailやMobile Meと同期しておけば、スマートフォンからでもパソコンを開いている時と同じ環境にアクセスでき、またパソコンを開いてネット接続を確立するまで1分間かかるとしたら、スマートフォンなら3秒だ。この時間差もなかなか大きなものだ。
さてここまで紹介してきたノマドワークのインフラ環境だが、毎月の通信費用がどうなるか、と言う問題点が残る。
iPhoneを通話料も含めて使うと大まかに約1万円、通信モジュールで約7000円(プロバイダーと無線LANオプションを含む)、もしMobile MeやFlickrやEvernoteなどの有料クラウドサービスを使っていれば約2000円、しめて月額約2万円になる計算だ。
フリーランスで働いていれば、電気やネット環境などがすべてそろっている事務所や賃貸を2万円で借りることができるか? たとえば10人のメンバーが集まるとして、月額20万円で10人が快適に働けるオフィスを借りることができるか? という天秤にかけることになる。
ここには、時間や場所の自由の代金が含まれていないため、単純なコストでの損得勘定にはならないかもしれない。またネットを介したやりとりにストレスを感じないなどのコミュニケーション能力やモチベーション管理ももちろん関係する。
ただ月額2万円で、誰でもこのワークスタイルが選べるようになっていること自体、数年間のケータイの充実には目を見張るものがあると感じているのだ。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。
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