エプソン「Colorio EP-802A」
外観:使わないときはもちろん、使うときもすっきり!
黒一色のシャープなデザインを採用するEP-802A。前面にコントロール部やメモリーカードスロットなどが集中しているため、IT機器としての独特の存在感がある。
収納時のサイズは、幅446×奥行き385×高さ150mm、重量は約9.0kg。上から見たフットプリントはキヤノンのMP640とそれほど変わらないが、今回の3機種の中では最も高さが低いためか、すっきりとしたスリムな印象だ。
利用の際は前面のカバーを開けて排紙トレイを引き出す。また、コントロールパネル部分は90度までチルトさせることができる。
特筆すべきは、本体下部に内蔵された給紙トレイだ。2段式になっていて、下にははがき〜A4サイズ、上側には写真のL判やはがきサイズの用紙がセットできる。上下2段式のためにそれぞれ収容枚数は少ないが、両者にはがきを入れれば、20枚+50枚の最大70枚までの連続はがき印刷が可能だ。
吸湿する用紙を長期間入れておくのは好ましくないが、普通紙と写真用紙を入れておけばいつでもコピーや写真印刷が行なえるのは便利といえる。
スキャナー部分のカバーは薄く、容易に開く。コピー操作の際も原稿をセットして排紙トレイを引き出すだけなので、場所をとらずに使えるだろう。
CD/DVDなどのプリンタブルメディアをセットする専用トレイは本体内部に格納されており、印刷モードを切り替えることで内部から自動的に出てくる。液晶画面に表示される案内を見ながらメディアをセットすれば、印刷終了後に再び自動的に出てくるのを待つだけでいい。
必要な機能をすべて本体に持たせているため、印刷時にカートリッジなどをいちいちセットする手間がなく、紛失も防げるのが便利だ。ちなみに上位機のEP-902Aでも、透過原稿を読み取る(フィルムスキャン)ときのフィルムホルダーを本体内に収納できるようにしていて、EP-802A同様のコンセプトがみられる。
スキャナーユニットを持ち上げると、機械部分が見えてくる。ここでほかの2機種と大きく異なるのは、インクジェット方式にエプソン独自のMACHジェットを採用している点だ。
サーマルジェットではインクを加熱・発泡させて噴出させるが、MACHジェットではピエゾ素子による圧力で噴出させる。熱を加えないためインクノズルの目詰まりも少なく、インクの性質も独特でインクタンクと印刷ヘッドを遠く離しておくことができる。そのためインクタンク格納部は本体右下に固定されており、手を伸ばさずに交換できる。
インク数は、CMYの基本3色と、ハーフトーン部の表現に使われるライトC、ライトM、さらに染料インクの黒という6色だ。これは、上位機のEP-902Aも同じである。各インクタンクにはチップが積まれ、さらにノズルからの噴出量とのカウントでインク残量を正確に測定している。
この情報は本体内蔵のウェブサーバーとも連携しているため、EP-802A用のネットワークツールをインストールしていないパソコンからでも、ウェブブラウザー経由で確認できる。さらに、同社の直販サイトとも連動していて、インク残量が少なくなったものだけをすぐに注文できるようになっている。
操作:ボタン配置にやや戸惑った
コントロール部分は、2.5インチの液晶パネルの左右に操作ボタンを配したレイアウトとなっている。画面はやや小振りだが高精細なものが使われており、きれいに表示されていた。メモリーカードの写真を選んで印刷するときなども分かりやすいだろう。
ただし操作インターフェイス、特にボタン配置が判りにくく感じる。操作のタイミングによって、押すボタンが異なることがあり戸惑ってしまった。
無線LAN接続では、AOSS/WPS/WCNといった自動接続設定に対応しており、手動での設定も可能だ。「シンプル設定ウィザード」は、Windowsパソコンにおける無線LAN接続とほぼ同様で、アクセスポイントを選ぶと暗号化方式を自動で選んでくれる。あとは暗号キーを入力するだけという簡単なものだった。
画質・速度:新クリスピアとの組み合わせで感激!
さて、ここで多くを割きたいのは、写真印刷の品質の高さだ。印刷品質および印刷速度については、6色インクや印刷解像度(最高5760dpi)、インク液滴の5段階可変、L判の写真1枚で約14秒というスペックである。これは上位機のEP-902Aとまったく同じだ。
上位機との主な違いはスキャナーユニットとコントロールパネルだけであり、用途の中でカラー印刷が主体ということであれば、EP-802Aを選んでも間違いはない。
特に、専用に開発された同社の新クリスピア用紙を使うと、透明感のある光沢や深みのある発色に優れた立派な「写真」となる。厚手の用紙を内部でUターンさせる紙送り機構のため、印刷中はややメカニカルなノイズ音が目立つものの、そんなデメリットを軽く打ち砕くほど出力品質が高い。少しばかりコントラストが強めで、滑らかなグラデーションが階段状に見えることもあるが、染料インクを使っている割には、引き締まった黒も表現できている。
サードパーティー製の光沢写真はがき用紙にメモリーカードから印刷してみたところ、20枚を印刷するのに20分45秒かかった(光沢ハガキの「きれい」モードで出力)。1枚あたりでは1分30秒となる。
ただし「きれい」ではなく「標準」モードで出力しても、目に見える画質の差はそれほど感じなかった。「標準」モードの場合は、トータルで6分44秒、1枚あたり12〜13秒となる。年賀状印刷をパパッと済ませたいときは、この「標準」モードを使うといいだろう。
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