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元祖CDN業者が次のインターネットを見せた

アカマイ創業者、ランジェリーショーからクラウドまで語る

2009年11月18日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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11月17日、アカマイは創業者であり、チーフサイエンティストを務めるトム・レイトン博士によるセミナーを都内で開催した。ここでは次世代のインターネットについての課題とアカマイのアプローチが披露された

4つのトレンドでインターネットを斬る!

 アカマイはドットコムバブル時から一貫してコンテンツ配信ネットワーク(CDN:Contents Delivery Network)を専門に手がけている事業者。昨今ではアカマイのサーバー上にさまざまな付加価値を追加することで、結果的にインターネット最大の分散コンピューティング環境の提供業者になっている。レイトン氏は、まずインターネットとこうしたアカマイの現状について説明した。

アカマイの創業者であるトム・レイトン博士

 現在アカマイはISP内の900のネットワークに5万6000台のサーバーを配置している。そして、ユーザーはオリジンサーバーではなく、直近のアカマイサーバーにアクセスすることにより、遅延やパケットロスのないインターネット上の「バイパス」を利用できる。国内では160社の顧客がおり、年々2倍ごとにトラフィックが大きくなっている状況だ。

グローバルと日本でのインターネットの状況を比較。ブロードバンド比率などは突出して高い(以下、スライドはアカマイの資料より抜粋)ワールドワイドで3000の顧客、2万のドメインを抱えるアカマイの現状

 レイトン博士は次のHDビデオ、クラウドコンピューティング、セキュリティ、モバイルという次の4つのトレンドを示し、その現状と将来像、そしてアカマイが提供するソリューションを説明した。ここでは、このうちHDビデオとクラウドコンピューティングについてレポートする。

 動画配信とCDNの関係を示す歴史を紹介する中で、博士は1999年に行なわれたビクトリアズ・シークレットのショーを挙げた。ビクトリアズ・シークレットはランジェリー販売をインターネット上で行なっており、スーパーボールで「ランジェリーのショーがWebサイト上で実施される」ことを予告した。しかし、ふたを開けてみると、あまりにも多くのリクエストが来たため、サイトはクラッシュしてしまう。さらにデータセンターのあるダラスのインターネットまで全部落ちてしまったのだ。しかし、その後アカマイの顧客になることで、ショーが問題なく配信できるようになったという。

動画配信やビデオコミュニケーションではどんどん帯域が必要になるアカマイのHD配信技術により、遅延のないハイクオリティな配信が可能に

 先頃のオバマ氏の就任では1Tbpsを超えたが、この帯域はまだ小さいと言わざるを得ないという。レイトン氏は「現在、ビデオを観たことがある7億人が1日10分間の0.5Mbpsのビデオを観るとすると、平均2.4Tbpsで済む。しかし、数年間に渡って、ユーザー数、視聴時間、ビットレートが大きくなると、現状より500倍多いペタクラスの帯域が必要になり、インターネットは生き残れない」と述べる。

 これに対して、アカマイはHDの配信を実行可能なネットワークが整っており、FlashやSilverlight、iPhoneなどもサポートするという。ちなみに現在、iPhoneの配信は、すべてアカマイを経由しているとのこと。「ビットレートもダイナミックに調整でき、リアルタイムに配信できる。遅延があったとしても、2秒くらいなので衛星と同じくらい。カメラアングルやチャレンジを切り替えるのもスピーディーにできる」(レイトン氏)。

クラウドにもバイパスを提供

 同氏はクラウドコンピューティングの課題についても言及した。「本来、CPUは手元にあればよいのに、クラウドコンピューティングでは遠く離れたサーバー上に存在する。そのため、ラウンドトリップが繰り返され、レスポンスが遅くなります」という問題だ。

 これに対して、アカマイはルートの最適化や専用の制御プロトコルを用いることで、レスポンスを向上。オリジンサーバーからデータを先んじて取得するプリフェッチを行なう「DSA(Dynamic Site Accelaration)」を使うことでラウンドトリップを減らす。レイトン氏はインターネットを介した仮想デスクトップを例に、「特にアジアでは、Amazon EC2上のアプリケーションで調べると、アジアでは59秒から15秒になった」とアカマイ導入後のパフォーマンス向上を説明した。

クラウドコンピューティングではユーザーとCPUの物理的な位置が離れてしまうデスクトップ仮想化の配信を見てみると、アカマイ後は劇的に改善する

 また、認証や広告配信、ショッピングカートなどアプリケーションの一部を切り出して、アカマイネットワークのサーバーに処理を分散する「Edge Computing」の取り組みについても解説した。その他、モバイル環境での高速化やIPv6やDNSSECの導入などのトピックもあった。元祖CDN業者として長年インターネットとつきあってきた同社のセミナーだけに、観衆の関心も高かったようだ。

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