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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第7回

現役音大生と銀座のホステスが、ネットと音楽で目指すもの

2009年11月15日 12時00分更新

文● 四本淑三

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銀座に勤め、業界の裏の裏まで

――次は喜多嶋さんです。東京芸大出身で「銀座のホステス」というのは本当ですか?

喜多嶋 本当です。アート系の学生で、銀座に勤めている子は結構多いんですよ。

喜多嶋時透さん。「キレる17才」の世代に生まれた、銀座の銀座のホステス。東京芸大出身なのである

――僕も美大出身で同級生で銀座の子がいたので分かります。銀座で得たものって何ですか?

喜多嶋 様々な職種の方と、肩書きを取っ払って触れ合えたのが大きな収穫じゃないでしょうか。音楽業界の裏の裏も見てきたつもりです。作家としてもネタの宝庫だったと思いますね。

――差し支えなければ喜多嶋さんの年齢がイメージできるキーワードをください。

喜多嶋 「キレる17才」の世代です。近づくと危険かもです。

――「喜多嶋時透」というハンドルネームの由来は?

喜多嶋 敬愛する漫画家のキャラクターの名前を展開させたものです。「ガラスの仮面」の「北島マヤ」にかけているのと、「シズカ」は月の「静かの海」(月面の巨大なクレーターの名称)から。「セーラームーン」の月野うさぎの前世は、月の王国の王女プリンセス・セレニティ。セレニティは月の「晴れの海」(The Sea of Serenity)から命名された……という話を引用して。



▲ちなみに喜多嶋さんの作品に、OSTER Projectさんの有名曲とセーラームーンのキャラを組み合わせた「ミラクルペイントを生演奏+手書きアニメで変身させてみた」がある

――Treowさんと知り合ったのは?

喜多嶋 私も自分で作りたい音楽があったのですが、ボカロでそういう音楽やってる方はいるかな? と検索してた時に、Treowさんの曲に出会って。話してみたらお互い芸術系大学つながりだったので、制作の話をよくするようになりました。

――なるほど。ご自身でも「喜多嶋派」としてニコニコ動画で活動されているし、音楽もやられているわけですよね?

喜多嶋 「喜多嶋派」はクリエイター系の友人と趣味でやっている感じです。音楽はピアノを幼少からやっているのと、中学でサックス、高校ではシンセで打ち込みをしたりバンドをやったり。聴いてきた音楽とやってきた事はTreowさんとかなり似ています。でも私のはTreowさんから見たら子どもの遊びみたいなものでしょうけど。

――それで喜多嶋さんとTreowさんのコラボレーションに至るわけですが。

喜多嶋 私はニコニコ動画や初音ミクを先入観だけで馬鹿にされるのが悲しくて……。こういった文化を知らない人たちにも、興味を持ってもらえるものを作りたかったんです。ちょうどその頃、Treowさんもビジュアルを任せられる人を探していたみたいで。

ただいま準備中の「ElektLyze+喜多嶋派」コラボレーションサイト「ELECTROCUTICA」(http://electrocutica.com/)

――Treowさんから見た喜多嶋さんの印象は?

Treow 最初は「謎の人」でしたが、興味を持つポイントが一致しているというか。同じ方向を向いていると。

喜多嶋 お互いアカデミックな表現にはあまり興味がなくて、オタクで、娯楽作品も好むというタイプ。芸術家になるのも、同人作家や商業作家になるのも、何か違う。それを全部総合した新しい立ち位置、それを模索しているのが共通点かなと思います。

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