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VMwareを追撃 「Parallels Desktop 5」10の新機能

2009年11月13日 12時00分更新

文● 田中俊光

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7. VMwareの仮想マシンからの移行が簡単に

 他社製の仮想マシンをインポートする機能は従来からサポートしていたが、バージョン5では仮想マシンのリストにVMware Fusionで作成した仮想マシンも表示され、簡単に変換して使えるようになった。VMware Fusion 3でも同様の機能がサポートされており、お互いを強く意識していることがうかがえる。

Parallels Desktop 5

リストに表示されたVMware Fusionの仮想マシンを右クリックし、「変換」を選ぶ。次に表示される確認ダイアログでもう一度「変換」をクリックすると、インポート作業が開始される


8. ジェスチャーとリモコンでWindowsアプリケーションを操作

 一部のアプリケーションでは、タッチパッドを使ったスワイプ/回転/ピンチ、またはアップル製の赤外線リモコン「Apple Remote」を利用した操作が可能になった。対応アプリケーションと動作はヘルプに記載されているので、一度目を通しておくといいだろう。

Parallels Desktop 5

現在はPowerPoint/Word/Excel/Windows Media Player/Winamp/Internet Explorer/Firefox/Windows画像とビューワなどのアプリケーションがこの操作に対応している


9. スタイル付きテキストと画像のコピー&ペーストに対応

 クリップボードを介したOS間のコピー&ペーストはこれまでプレーンテキストのみ対応していたが、バージョン5ではスタイル付きテキストと画像のコピー&ペーストをサポート。OS間でのデータのやりとりがさらに簡単になった。

Parallels Desktop 5

「ワードパッド」と「テキストエディット」、「ピクチャ」と「プレビュー」といったアプリケーション間でデータのやりとりが簡単に行なえる


10. Linux対応強化

 Aero対応が注目を集めているParallels Desktop 5だが、視覚効果が楽しめるOSはWindowsだけではない。バージョン5ではLinuxゲストでOpenGL 2.1の3Dアクセラレーションをサポート。3Dデスクトップ「Compiz Fusion」も動作するようになった。また、KVM(Kernel-based Virtual Machine)の準仮想化インターフェースをサポートし、対応カーネルでのパフォーマンスが向上している。

 従来はWindowsのみサポートしていた「高速インストール」がLinuxのインストールにも対応したほか、クリップボードの共有がサポートされ、さらにテキストと画像のコピー&ペーストが可能になるなど、全体的にLinuxゲストに対するサポートを強化している。

Parallels Desktop 5

Ubuntu 9.04ゲストでCompiz Fusionを使ってワークスペースの立体的な切り替えを行なっているところ

Parallels Desktop 5

KVMの準仮想化インターフェースに対応。dmesgコマンドを使って起動時のメッセージを確認すると準仮想化(Paravirtualization)対応カーネルで動作していることが分かる

Parallels Desktop 5

仮想マシン作成時にユーザー名やパスワードなどを指定しておき、インストール時のキー入力の手間を省く「高速インストール」がLinuxゲストでも使用できるようになった


コラム:完全仮想化と準仮想化

 仮想化の手法には大別して「完全仮想化」と「準仮想化」の2種類がある。「完全仮想化」は実際のPC環境を忠実に再現し、無改造のOSを動作させる。「準仮想化」は仮想化に都合の良い環境を構築し、その環境に最適化したOSを動作させる。

 「準仮想化」のほうがパフォーマンス面で有利だが、OSに手を加える必要があるためWindowsなどの商用OSを対応させることは困難であり、主にLinuxなどオープンソース系のOSを動作させるために使用されている。

 なお、VMwareはVMI(Virtual Machine Interface)という準仮想化インターフェースを提唱している。Windows/Linuxホスト版のVMware WorkstationではVMIによる準仮想化を正式サポートしているが、Macホスト版のVMware Fusionは未対応だ。ただし、VMware Fusionでも隠し機能として実装はされているので設定ファイル(vmxファイル)をエディタで編集して「vmi.present = "TRUE"」という行を追加すれば使用可能となっている。


総評:体験版でじっくり比較検討しよう!

 バージョン4でSnow Leopard(32/64bitカーネル)に対応済みのため、Aero不要というユーザーはアップグレードにあまり魅力を感じないかもしれないが、ほかにもさまざまな改良が加えられていることが分かるだろう。

 VMware Fusionもほぼ同時にメジャーバージョンアップしたため、新規購入を検討するユーザーだけでなく、既存ユーザーもこの機会に乗り換えるべきか悩むところだ。

 両者は体感では動作速度も大差がなく、Aero対応などの基本機能はほぼ互角であるため選択が難しい。VMware Fusion 3は30日、Parallels Desktop 5は14日間試用できる体験版が用意されており、仮想マシンも相互に変換可能なのでOSを再インストールすることなく両者の比較が可能だ(体験版へのリンク:VMware FusionParallels Desktop)。実際に両者を使ってみて、好みや使い方に合うほうを選べばいいだろう。


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