「黒船」が来たらやっぱり売れてしまうのか
さて、今月19日から日本を含む100ヵ国での販売が始まったKindleだが、筆者もさっそく実機を手に入れた。
いまのところ日本語対応書籍の発売予定はまったく未定。3G通信機能は使えるものの、英語書籍以外に購入できるものがないという状態なので、本命視してよいものかどうか迷うところだが、少なくとも「読書体験」というものだけは実際使ってみないことにはわからない。「物好きな」と言われながらも、とにかく購入してみることにした。
使ってみないことにはわからない
Kindle Internationalは、2009年2月に発売されたKindle2の海外出荷版となる。6インチのE Ink電子ペーパーを搭載し、約1.5GBのメモリ容量を持つ。3G対応携帯端末として動作し、電子書籍販売サイト「Kindle Store」(キンドルストア)との通信、ウェブページの表示や検索が可能だ。簡易ハードウェアキーボードと前後ページめくり、HOME、MENU、BACKとポインティングデバイスを備えている。インターフェースはUSB/電源共用コネクタとヘッドフォンジャックとなっている。
開梱して最初の感想はやはり「薄い」だ。鉛筆と厚さを比較する写真は販売サイトでもおなじみだが、文庫本なら220ページ程度のかなり薄い本と同じくらいとなる。幅は13.46cmとかなりあり、四六版の書籍より少し縦が長いサイズだ。
四六版ソフトカバーを片手で持って読むには、かなり手の中でぐいっと曲げる必要があるが、Kindleは曲がらないので、4本の指で背面を支えつつ、親指でページめくりボタンを操作する、という持ち方になる。それで約300gをずっと支え続けるのは、長時間だと多少つらいかもしれない。
電源ケーブルはUSBケーブルと電源アダプター一体型のタイプ。iPhoneと同じように、USBコネクタの上に電源アダプタを差すタイプなのでとてもスマートだ。梱包の中身は本体とこのケーブル、小冊子一冊だけと非常にシンプルになっている。パッケージも小さい。
まずはユーザーズガイドを表示して、読む感触を確かめてみた。ページめくりは、英語書籍であれば十分速い。PC上で見る電子書籍で、ページがぱらりとめくれるアニメーションを表示するタイプがあるが、あの程度のタイミングでページが切り替わる。ただし、日本語書籍が発売されると仮定して、同じレスポンスが得られるかどうかは未知数だ。
とはいえ、反応の遅い操作もある。ウェブブラウズはそのひとつだ。「MENU」→「Experimental」から「Basic Web」を選ぶと画面が出るが、操作は携帯電話より手間がかかって遅い。コントローラーをクリックして、ポインターをリンクからリンクへ移動させるといった操作の場合、5行先まで移動しようと思うと、5回クリックして5つ数えると操作に表示が追いつく、くらいのタイムラグがある。
しおりは自動的に挿入されるタイプと、ユーザーが選択するタイプがある。書籍を開いて読み、途中で「HOME」やキンドルストアへ移動すると、最後に表示したページを保存しておき、次に同じ書籍を開いたときに読みかけページから表示する。意図的にしおりを挿入する場合は、「MENU」ボタンから「Add a Note or Highlight」を実行する。ページ中にマーカーを挿入したり、メモを追加することができるが、キーボードは電卓のボタンのようなタイプで操作しにくい。長文のメモを挿入する用途には向かないだろう。ウェブページ表示中にはNoteメニューも出てこないため、あまり使いでのない機能かもしれない。