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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第90回

記者会見の開放を妨害しているのは誰か

2009年10月28日 16時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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一般公開された「第2の亀井会見」

 記者会見を記者クラブ以外に開放するかどうかの問題は、首相官邸でもめているうちに岡田外相と亀井金融・郵政担当相が先行してスタートした。特に亀井氏の会見は、クラブが非加盟社の参加を拒否したため、大臣室で別に行なわれることになり、ニコニコ動画が毎回中継している。それを私がTwitter中継したら、この#kameというハッシュタグには500ぐらいコメントがついた。

Twitter

Twitter上のアゴラのアカウント「agora_japan」で、亀井大臣会見の様子が実況された

 普通の記者会見では、このように一部始終が公開されることはなく、テレビでは大事な部分が1分半ぐらい使われるだけだ。ところが亀井氏の45分にわたる独演会を聞くと、テレビや新聞記事ではわからない彼の本音が聞ける。持論の「無利子国債」については、「政調会長のとき提案したが、宮沢さん(宮沢喜一氏、当時蔵相)が反対した。大蔵省はわかってくれない。赤字国債に躊躇する必要はない。特別会計で2~30兆はすぐ出てくる」と言い、政府紙幣については「政府紙幣より国債の日銀引き受けのほうが簡単。政府紙幣は麻薬」と、国債の日銀引き受けを求めるような発言もしている。

 こういうのはただの放言で、金融庁には国債の発行権限はないから、記者クラブの「プロ」は無視するだろう。しかし亀井氏が日本郵政の社長に大蔵省の元事務次官を起用したのは、国債の「郵貯引き受け」を実現する狙いだと見る向きが多い。財務省の主計官だった自民党の片山さつき元議員は、ブログ上で「昔『第2の予算』とか、政府ののお財布と言われ、便利に使われて、四国に3本橋かけたり、なんとかピアを作っちゃった、財政投融資の復活に、限りなく近い発想を感じますね。」と批判している。

 亀井氏は、公式には「郵政公社への逆戻り」を否定しているが、彼の「国民の資産は1500兆円もあるんだから、どんどん使えばいいんだ」という発言からうかがえるのは、郵政を国有化して昔に戻そうという意志である。こういう「感触」は、昔は閣僚の話をすべて聞ける記者クラブの記者にしかわからなかったが、これからはニコニコ動画を見ている人は、記者クラブと同じ一次情報にアクセスできる。 BLOGOSでも、近く亀井会見のストリーミングを開始する予定だ。

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