CELLだからこその「超解像技術」
さらにCELL REGZAでは、超解像技術も専用の「CELLプラットフォーム超解像技術」を採用。これは、ZX9000シリーズでも採用されている超解像技術をソフトウェア処理で行なうことに加え、「自己合同性超解像技術」、「色超解像」、ネットワーク動画配信の低解像度映像用の「ネット超解像処理」がある。
自己合同性超解像技術とは、画像の自己合同性に注目したもの。たとえば、服の模様を見てみるとよくわかるが、いわゆる細かいディテールは同じ模様の繰り返しであることが多い。この特性を利用して、映像の一部の近くにあるよく似た画像を検出、ふたつの画像からそれぞれの画素を抽出して重ね合わせることで、より高解像度の情報を再現するというもの。
色超解像技術は、いわゆるクロマアップサンプリングのことで、オリジナル映像に対して1/4に間引かれてしまう色信号を、独自のアルゴリズムにより1/2まで復元するもの。色の境界線がより鮮明に再現され、映像自体の解像感を高めるものだ。
なお、当初期待された「熟成型」超解像技術は今回は見送りとなった。これは、超解像処理を何度も反復することでその精度を高めるものだが、フルHD解像度のパネルでは期待したほどの効果が得られなかったためだそうだ。今後登場する4K2K(フルHD解像度の約4倍の解像度)パネルでは、その効果がはっきり実感できるそうなので、「4K2K CELL REGZA(仮)」では、採用されることを期待したい。
もうひとつのネット超解像処理は、フルHD映像に比べて処理が軽いため、超解像処理を4回繰り返している。また、低解像度・低ビットレートの映像は元の映像に圧縮ノイズが乗っており、このまま超解像処理を行なうとノイズも強調してしまうため、独自のアルゴリズムで圧縮ノイズだけを検出・分離する技術も組み合わせている。
これらの技術と、徹底的にこだわったチューニングで、CELL REGZAの映像は従来の液晶とは一線を画すものとなった。黒の締まりや夜空に浮かぶ星の輝きのような映像は、プラズマテレビでも実現しているが、その星の眩いほどの輝きは少なくとも現在のプラズマでは得られない。なにより、これだけ眩しい光でありながら、かつての液晶のギラギラとした目に優しくない映像ではなく、あくまでも自然な映像になっているところが凄い。「かつてのブラウン管と同等の高コントラストがようやく実現できました」(本村氏)。
次週はCELL REGZAだからこそ実現できた音質と、多彩な機能、そして将来像について紹介していこう。