このページの本文へ

XenAppの全機能も統合!

6種類の仮想デスクトップに対応する「XenDesktop 4」登場

2009年10月27日 09時00分更新

文● 金子拓郎/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

10月26日、シトリックス・システムズ・ジャパンは仮想デスクトップ製品の新バージョン「Citrix XenDesktop 4」を発表した。発売は11月16日で、価格は1ユーザー3万2200円など。

 XenDesktopの基本機能は、サーバの仮想化環境で動作するクライアントOSのデスクトップ画面イメージをクライアントPCやシンクライアントに配信(デリバリ)するVDI(Virtual Desktop Infrastructure)だ。加えて本バージョンでは、サーバで実行したアプリケーション画面イメージをクライアントに配信したり、アプリケーション自体を配信してクライアント上で動作させる「アプリケーション配信」を実現する「XenApp」の全機能を統合。また、VDIだけでなく、合計6種類のデリバリ技術に対応する「FlexCastデリバリテクノロジー」を搭載する。

6種類の技術を使い分けるFlexCast

 FlexCastでは、VDIやターミナルサービス、ネットブートなど異なる方式のデスクトップ/アプリケーション配信を区別することなく扱うことができる技術で、具体的には以下の6種類に対応する。

Hosted Shared Desktops(ホステッド共有デスクトップ)
 Windows Serverのターミナルサービス(Windows Server 2008 R2からはリモートデスクトップ)のように、サーバOSに複数のユーザーが接続し、それぞれのデスクトップ画面をクライアントに配信。全ユーザーが1つのOSを共有する。1台のサーバでサポート可能なユーザー数は最大500名となる。
Hosted VM-based VDI Desktops(ホステッドVDIデスクトップ)
 XenServer、Hyper-V、VMware ESX/VMware vSphere上でクライアントOSを実行し、その画面イメージをクライアントに配信。各ユーザーに専用のOSが用意される。1台のサーバで60~70のデスクトップをサポートする。
Hosted Blade PC Desktops(ホステッドブレードPCデスクトップ)
 ブレードPCのクライアント版である「ブレードPC」上でクライアントOSを実行し、そのデスクトップ画面をクライアントに配信。1台のブレードPCを1ユーザーが利用するため高い処理能力の提供が可能で、CAD/CAMなどの用途にも使われる。
Local Streamed Desktops(ローカルストリームドデスクトップ)
 ネットブート型シンクライアント。クライアントOSのイメージをクライアントに配信し、クライアント上で実行する。
Virtual Apps to Installed Desktops(インストールされたデスクトップへ仮想アプリケーションを配信)
 XenAppのアプリケーション配信の1つ。アプリケーションソフトウェアのイメージをクライアントに配信し、クライアント上で実行する。イメージはクライアントのOSへのインストール済みの状態に(仮想的に)なっており、クライアント側ではインストール作業不要で利用できる。
Local VM-based Desktops(ローカルVMベースのデスクトップ)
 クライアントOSのイメージ(仮想イメージ)をクライアントに配信し、クライアント側の仮想化環境(XenClient)で実行する。外出先などサーバとのネットワークが切れた状態でも利用可能で、OSやアプリケーションの設定、ユーザーデータなどは、ネットワーク接続時に同期される。提供は後日の予定。

 名称に「ホステッド」と付く前半3つの技術は、サーバ(ブレードPC)上でOSやアプリケーションを実行し、画面イメージのみをクライアントに配信する方式。後半3つは、OSやアプリケーションをクライアント上で実行する方式だ。

 またXenDesktop 4では、画面イメージの転送に使う「HDX(High-Definition user eXperience)テクノロジー」も改良されている。これにより、Flashコンテンツのクライアントでの実行、クライアントに接続したWebカメラなどのアイソクロナスタイプのUSB機器の利用、マルチディスプレイ環境の強化、WAN環境でのファイルコピーや印刷の最適化などが行なわれる。

 ライセンス体系も変更され、これまでの同時接続数によるライセンスから、利用するユーザーもしくはデバイス単位でのライセンスとなる。これはWindowsのCAL(Client Access License)などと同様で、ユーザーライセンスの場合は、ライセンスを持つユーザーが同時に何台でもデバイスを利用できる。また、デバイスライセンスでは、ライセンスを持つデバイスをユーザー数の制限なく使用できる。

Enterprise EditionとPlatinum Editionが対応する、XenAppのアプリケーション配信機能。FlexCastとは別の機能となる(シトリックス・システムズ・ジャパンのWebサイトより)。

 価格は、Hosted VM-based VDI Desktops、Hosted Blade PC Desktopsのみに対応する「VDI Edition」が、1万3700円(1ユーザー/デバイスライセンス)。6種類のFlexCastデリバリテクノロジーに対応し、XenAppの全機能が利用できるEnterprise Editionが3万2200円(同)。加えて、アクセスコントロールやシングルサインオンなどのセキュリティ機能、サービスレベルモニタリングなどの管理機能を搭載するPlatinum Editionが5万100円(同)。加えて、最大10ユーザーが利用できる「Express Edition」は無償で提供される。

 また、現在XenAppを利用しているユーザーに対しては、XenAppの同時使用ユーザーライセンス1つをXenDesktop 4のユーザーライセンス2つに交換する「XenDesktop 4トレードアッププログラム」を提供する。トレードアップの希望価格はユーザー1人あたり1万3650円からで、通常の契約更新料を加算したうえで、最大で希望小売価格の80%引きでXenDesktop 4のライセンスが購入できる。期間は2010年6月30日までとなっている。

カテゴリートップへ