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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第59回

500枚以上の手書きノートを公開する「物理学正典」の意図

2009年10月26日 12時00分更新

文● 古田雄介

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「物理学の落語」を目指してYouTubeに動画もアップ

――物理学正典の想定読者層と実際の読者層を教えてください。最近は生涯学習の関心が高まって、仕事や実益と関係なく、趣味で色々な勉強をする人も増えているといわれていますが。

宇田 特に狙いを定めているわけではないですが、私のサイトを見て物理学に興味を持つ人が増えてくれたらいいなという期待はあります。実際は、おそらく見に来る人は大学の物理学科の学生さんが多いんでしょうね。大学を卒業したあとで大学院にも行かなければ、物理学を勉強する人は少ないと思います。

 ただ、「趣味の物理学」というコンセプトを標榜している「EMANの物理学」というサイトが、Google検索で私のひとつ上に出てきますね。そうしたサイトが世に出てきているので、趣味として物理学を勉強する人も増えているかもしれませんね。

 

――サイト開設から現在まで通して、「質問無料受付コーナー」に届く質問やメール等、読者からの反応に変化はありますか?

宇田 色々な反応があると思うでしょ? ところがね、実際はほとんど皆無に等しいです。質問無料受付コーナーで使っている「Wooder!掲示板」なんて、基本的に落書きしか来ませんし、読者からメールが届くことも滅多にありません。

 それで、自分のサイトを作って待っているだけでなく、2ちゃんねるに「★宇田雄一2CH内派出所☆」というスレッドを立てて質問を受け付けたこともあります。物理学正典を始めた初期の頃ですね。

★宇田雄一2CH内派出所☆は、2ちゃんねるの過去ログでたどれる。スレッドは2まで伸びたが、2006年10月頃に終了した


――そこでの反応はどうでしたか?

宇田 サイトとは違い、活発に人とのやりとりがありましたが、おおよそにしてあまり好意的でないといいますか(笑)。まあ、私も必ずしも紳士的ではない対応をしていましたし。かなり昔のことなので2ちゃんねるから遠ざかった理由は思い出せないんですが、あまりいい気持ちではなかったというのも大きな理由ではあると思いますね。


――そうしたサイトを離れた活動として、2008年からYouTubeに動画をアップしていますね。これはどんな目的からですか?

宇田 「クチから文法主義まかせ」ですね。あれは自分の研究を発表する場として作りました。物理学正典は教育を主眼にして作ったのですが、研究についても発表しようと。とはいえ、具体的な内容を語るというよりは、研究戦略みたいな感じのお話にしています。私としては「物理学の落語」の境地を目指していまして、現在も月に1本ペースでアップしています。

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