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夏野剛氏、ガラパゴスケータイの未来を語る

2009年10月21日 12時00分更新

文● ASCII.jp編集部

来年はガラパゴスケータイにとっての最後のチャンス

 IT革命で日本の企業が次々と変革を迎えたこの10年で、日本が世界市場にアピール出来る重要な製品が生まれた。それが「ケータイ」だ。

 「海外ではわずか162バイトのSMSという通信が普通だが、日本ではケータイ1台に必ずEメールアドレスが付いている。ネットも出来れば、GPSに指紋認証、おサイフケータイ、万歩計など、日本のケータイは『ガラパゴス』と言われるほど特殊な進化をしてきた」

 夏野氏の言葉を借りれば、この10年間の進化は「奇跡的」なものだった。1994年にケータイが出始めたときは通話中心のものだったが、1999年にiモードが出来たことでケータイはITインフラとして進化した。日本のメール文化、ネット文化はケータイがカギになったと言っていい。

この10年で日本のケータイは「奇跡的に」進化してきた。その進化はあくまで国内市場に向けたガラパゴス的なものだ

 だが昨年、その流れを大きく揺るがすインパクトがあった。補助金モデルの廃止だ。それまでは、たとえば原価が5万円程度のケータイでも1万円で販売出来た。通信料で差額を埋めればいいという狙いがあったためだ。それが廃止されたことにより、高額な原価はすべてユーザーに負担を強いることになった。

 「それまでは任天堂やソニーが(ゲーム機とソフトで)やったことと同じだった。イニシャルコストが安い方が良いに決まっている。総務省が介入して廃止したことで、ローリスク・ローリターンモデルになってしまった。いかにも官僚が好きな考え」

昨年から補助金モデルの廃止により、それまでの利益モデルが変わってしまったという

 補助金モデルの廃止によって新たなサービスの普及スピードは落ち、昨年、日本国内のケータイ出荷台数は前年比で30%も低下した。これで引き起こされたのが、キャリアとメーカーの関係の崩壊だ。市場の主導権が宙に浮き、リスクだけが残された。

 「今はケータイが売れないことでメーカーだけが中途半端にリスクを負う状態。キャリアはあまりリスクをとらず、国内では利益維持の方向になっている。欧州では成長のために新規投資をするが、日本ではそれがない」

 一方、海外から注目されているのは日本の「ネットに強い」ケータイだ。夏野氏はGoogleとAppleの2社を例に挙げる。GoogleのAndroidは「開発環境をオープンにしてメーカー主導で普及してもらうモデル」、AppleのiPhoneは「自社ですべて完結するモデル」とベースは逆だが、いずれもポイントにしているのは「ネットが軸になる」ことだ。

 「欧米のモバイル市場は急速に日本化している。日本のメーカーにとっては来年が(欧米に進出する)ラストチャンスだ。『BlackBerryでメールが出来る』『iPhoneでゲームが出来る』、それらはすべて日本では当たり前の話だったはず」

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