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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ

Windows 7は何がよいのか?

2009年10月21日 06時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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仕事にバリバリ使うには
とてもよく出来ている

 Windows 7は、「新しいOSというのは、必ず自分とっても何か便利になることがあるものだ」ということを実感させてくれるOSである。それはつまり、「Windows Vista」には、そうでない部分があったということだ。実のところ、Windows 7は、内部的なバージョンは「Windows 6.1」で、Windows VistaはWindows 6.0である。これは、OSの中身がそれほど新しくなっていないことを意味している。しかし、その分、Windows 7はとても「わきまえたOS」になっている。

  1. 出しゃばらず、しかし気の利いた使いやすさ。
  2. Vista、XPから違和感なく引越しできる親しみやすさ。
  3. 抜群の安定性・互換性を維持している安心さ。

 みんながふだん使うWindows 7については、むしろこういったことのほうが大切ではないだろうか。わたしがWindows Vistaで使っていたソフトの数は100本以上あると思うが、Windows 7にアップグレードしてみて、その中で明確に動作しなかったのは、1本だけだった。Windows 7の使いやすさ、ストレスのなさは、自分の家族や友人にもなんの心配もなく勧められるスジの良さがある。

 「使いやすさやストレスのなさ」というのは、各種操作が練れたことや、動作の軽快さによるものだ。タスクバーが優れている、ウィンドウ操作が便利、通知がおとなしくなった(Windows Vistaでは通知がしつこいことが米国の「Macをはじめよう」CMでもネタにされていた)など。ほかにも、仮想フォルダ、ツールバーや検索も便利になっている。さらには、エクスプローラの検索コネクタでウェブ表示など、ちょっと上級向けのシブ目の使いやすさも追加された(関連記事)。

 いくらiPhoneやAndroidが出てきたといっても、机でガシガシ使うコックピットはWindows 7だろう。お茶の間的なネットブックは、先に触れたようにiPhoneやAndroidのほうに近づくと思うが、生産性の差は歴然としているからである(PCなら3分で済むことを、iPhoneで10分かけてやっている人がいる=その10分が苦にならない気持ちよさが、iPhoneの魔力なのだが)。


リモート・メディア・ストリーミングの意味するもの

 わたしはまだ試していないのだが、Windows 7に付属のWindows Media Player 12には「リモート・メディア・ストリーミング」という機能がある。これは、自宅のPCの中にある音楽やビデオのファイルを、外出先から再生して見られるというものだそうだ。そんなことをやるヤツは、よほどのオタクだろうと思われそうである。あるいは、なんらかの映像や音楽の関係者は使うかもしれないが。

 これをやるには、Windows Live IDが必要になるのだそうだが、それでも、こんなことはいままでは超マニアにしかできなかったことだ。それが、一般のユーザーでもネットに繋がっていさえすれば、カンタンに自宅のコンテンツを再生できるというのは、画期的なことではないかと思う。制限付きではあるが、個人の持つデータが、自宅のパソコンの中にありながら空間を超えたということだ。

 これは、ちょっぴりネットのパラダイムを変えることになる。クラウドコンピューティングのような大きな波ではないかもしれないが、ひょっとしたら何かの兆しなのではないかとも思える。いまのところP2Pではあるが、クラウドを介して繋がるわけで、「ユーザーとクラウド」ではなく、「個人のPCとクラウド」の関係を変えるという意味で注目できる。



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