レンダリングと現像の時間は?
次に、64bit対応のベンチマークソフトとして「CINEBENCH R10」を実行してみた。CINEBENCH R10は、3Dモデルのレンダリングにかかる時間を計測するテストであり、32bit版と64bit版が用意されている。もちろん、32bit環境で64bit版CINEBENCH R10を実行することはできないが、64bit環境なら32bit版と64bit版の実行が可能だ。結果のグラフを見ればわかるように、32bit版CINEBENCH R10は、32bit環境でも64bit環境でもほぼ同じスコアになるが(当然と言えば当然なのだが)、64bit環境で64bit版CINEBENCH R10を動かすと、32bit版に比べてスコアが3割近くも向上している。レンダリングソフトのように演算量の大きなアプリケーションでは、64bit化の恩恵はかなり大きい。なお、4GBメモリー搭載時と8GBメモリー搭載時の差はわずかで誤差の範囲ともいえるが、複数のアプリケーションを同時に実行するのなら、メモリーを8GBにする意義は十分にある。
今度は、プロ向けのRAW現像・写真管理ソフト「Adobe Photoshop Lightroom 2.5」(以下、Lightroom)を利用して、128枚のRAW画像を現像してJPEG形式に書き出すのにかかる時間を計測してみた。LightroomはAdobe製ソフトの中でも、いち早く64bit対応を果たしたソフトである。結果は下のグラフに示した通りで、64bit環境では32bit環境に比べてJPEG書き出し時間が20秒以上も短縮されている。頻繁にRAW現像や画像処理をするクリエイターにとって、決して無視できない差であろう。
クリエイターにとってWindows 7の64bit環境の恩恵は大きい
今回製作したクリエイター向け最強ビジネスPCは、クアッドコアCPUとミドルレンジクラスのビデオカード、8GBメモリー、64bit版Windows 7を搭載したパワフルかつコストパフォーマンスの高いマシンだ。「Adobe Photoshop CS4」や「Adobe Premiere Pro CS4」など、プロクリエイター向けソフトでは64bit対応が進みつつあり、今後はさらに64bit対応アプリケーションが増えてくることが予想される。CINEBENCH R10やLightroomでのテスト結果からもわかるように、クリエイター向けアプリケーションでは、64bit化によって大きな性能向上が見込める。64bit環境でも、基本的に従来の32bit対応アプリケーションはそのまま利用できるので、現在Windows XPやWindows Vistaの32bit版搭載PCを利用しているクリエイターは、Windows 7の登場にあわせて64bit環境へと移行してはいかがだろうか。
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