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池田信夫の「サイバーリバタリアン」第88回

記者クラブに残る「日本的官民関係」

2009年10月14日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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金融庁では記者会見が「分裂」した

 官庁の記者会見を記者クラブ以外にも開放する問題は、鳩山首相が約束したにもかかわらず、その後も首相官邸では行なわれていない。他方、岡田外相は会見を開放し、亀井郵政・金融担当相も記者クラブを「封建的だ」と批判して開放を要求した。しかし記者クラブ(財政研究会)が「運営に支障が出る」として拒否したため、記者クラブ向けと一般向けの2回、会見を行なう異例の事態となった。この会見は13日、ニコニコ動画などで生中継された。

会見全文 10月6日分より2回に分けられた記者会見の内容は金融庁のサイトで読むことができる。亀井大臣は雑誌・フリー記者向け会見の冒頭で「彼らは頭が古いですね」と記者クラブを非難している

 しかし、そもそも記者クラブが会見を「主催」する権利があるのだろうか。金融庁の庁舎は国有財産であり、これを管理するのは金融庁である。記者クラブは、ここに電気代も電話代も払わないで出入りしている任意団体にすぎない。こうした何の権利もない「居候」が官庁の部屋を独占して他社を排除するのは違法行為だ。本来は官庁が会見を主催し、参加資格も決めるべきなのを、記者クラブに丸投げしているのだ。

 さらに異様なのは、この問題を当事者である新聞社もテレビ局も報じないことだ。たとえばグーグルニュースで「記者クラブ」を検索しても、出てくる新聞記事は毎日新聞の記事だけ。新聞の再販などの問題には「報道の自由」を掲げて大キャンペーンを繰り広げる朝日新聞も読売新聞も、記者クラブ以外の人々の報道の自由にはまったく関心がないようだ。

 かつては、民間企業にも記者クラブがあった。NTTには「葵クラブ」があったが、1999年の再編にともなって廃止された。経団連にも「機械クラブ」があったが、これも1999年に廃止された。記者発表がウェブや電子メールで行なわれるようになり、記者クラブで書類を配る必要がなくなったからだ。最近は官庁の発表もホームページで行なわれるので、記者が常駐している意味はない。それでも役所だけが記者クラブを残しているのは、彼らに便宜をはかることによって情報をコントロールするためだ。

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