怪しいソフトを試用できる「試用モード」も搭載
True Image 2009でのバックアップの復元は、「管理と復元」画面から行なう。自動的にパソコン内を調査し、バックアップデータを一覧表示してくれる。増分・差分バックアップを取っているなら、元に戻したい日時も選択できる。
パソコンが起動しなくなった場合などは、ブータブルメディアを使って復元する。パッケージ版ならインストールディスク自体が起動ディスクとして利用できる。ダウンロード版や体験版の場合は、「ツール」メニュー→「ブータブルメディアの作成」で作成する。CD/DVDのほか、USBメモリーもブータブルメディアにできる。ブータブルメディアをISOファイルに書き出すことも可能で、別のツールで焼いたり、仮想マシンソフトで利用できる。
出所の怪しいソフトを実行したり、ベータ版など開発途中のドライバーやアプリケーションをインストールする際は、「試用モード」が役に立つ。これは、試用モード中に加えられた変更をすべてトレースし、Acronisセキュアゾーンに保存する機能で、いつでもパソコンを元の状態に戻せる。ウイルスに感染したり、Windowsが不安定になりそうなソフトを実行したいときに利用したい。試用してみて問題がないようなら、変更を反映させて、通常モードに戻せばいい。
そのほかにも、「ユーティリティ」には、パーティションを別のHDDに丸ごとコピーするディスクユーティリティーや、情報漏洩を防ぐデータ消去機能「Acronis DriveCleanser」が用意されている。DriveCleanserを使うと、ファイルやフォルダーもしくはドライブ全体を消去し、ファイル復活ソフトでも復元できなくする。「システムのクリーンアップ」機能では、Windowsの操作履歴を消したり、HDDの空き領域に残っているデータの痕跡を確実に消去できる。
バックアップデータからファイルを検索する機能も用意されている。GoogleデスクトップとWindows Serchのプラグインを利用でき、即座に目当てのファイルを見つけ出して、復元できる。ただし、Acronisセキュアゾーンにバックアップしたデータは検索できない。
ほかにも、バックアップも同時に失われるような事故に備えて予備コピーを取ったり、起動ディスクなしに復旧ツールを起動する「リカバリーマネージャ」など、多数の機能を備えている。細かい設定なしにバックアップしたいなら、クリック一発で処理できる「Acronis ワンクリック プロテクション」が便利だ。
いたれりつくせりの充実機能は、さすが版を重ねた市販ソフト。大切なデータをしっかり守ってくれるなら、約1万円の出費も納得だ(最も安価な「アップグレード/乗換 ダウンロード版」なら4830円)。せっかく購入したなら使いこなそうという動機付けになるかもしれない。
「バックアップしなくちゃいけないのはわかっているけど、面倒くさい」と放置している人は、導入を検討してみてはいかがだろうか。ラネクシーのウェブサイトで30日間使えるトライアル版が公開されている。まずは、実際に手軽さと信頼性を確認してみよう。
Acronis True Image Home 2009 | |
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対応OS | Windows Vista/XP(64bit版対応)、Windows 7対応予定 |
パッケージ版 | 1万290円 |
アップグレード版 | 7140円 |
2ライセンスパック | 1万6590円 |
筆者紹介─柳谷智宣
1972年生まれ。Netbookからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。現在使っているノートPCは、東芝のSS RXとMac。とはいえ、1年以上前の製品なので、買い換えを思案中。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、PCやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)。
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