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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第33回

開発者インタビューで秘密に迫る「VAIO X」 前編

2009年10月08日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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20.5時間動作は「後付け」で生まれた?
液晶ディスプレーは大型化、でもバッテリー駆動時間は伸ばす

 VAIO Xの特徴として、別売のXバッテリーをつけると最大20.5時間駆動という点が挙げられる。だが、Xバッテリーの存在は、設計当初から想定されていたものではなかったという。

別売のXバッテリー

別売のXバッテリー。標準バッテリーの倍に当たる8200mAhの容量を持ち、VAIO Xを20.5時間動作させられる。中央部には空洞があり、放熱に利用される

「実は、最初はLバッテリー搭載までで完結した形で考えていました。10時間保てば、たいていの方のニーズは満たせると考えていました」

新木「設計がかなり進み、スタミナ設計が確認されて、バッテリー駆動時間が見え始めてからですね。『Lバッテリーでここまで保つなら、もっと行けるんじゃない?』という話になりまして」

「Lバッテリーで10時間駆動が見えてきて、『じゃあ倍積めば20時間か?』という、わりと単純な話なんです。ただその過程で、重量の検討も見えてきて、『Xバッテリーを搭載しても1kgくらいですむ』ことが分かってきました。そうなると、『1kgで20時間って、欲しい?欲しくない?』という議論になる。誰もが『欲しい!』ということになりますよね(笑)」

 後付けの発想、と言ってしまえばそれまでかも知れない。しかし、設計を突き詰めた結果、「1kg、20時間」というスペックが見えてきて、初めて今回のような構成ができあがることになった。Xバッテリーの搭載は、VAIO Xのキャラクターを決定する上で、最終的に大きな価値となったのは間違いない。

 バッテリー駆動時間の向上に寄与したのは、「液晶モジュールの改良とパラレルATAのSSDの採用」(新木氏)だという。type Pの時代には、高速なSSDはシリアルATA接続のもののみで、パラレルATAにしか対応していないIntel US15WチップセットでSSDを使うためには、別途変換基板を必要とした。この消費電力が大きく影響していたという。

「液晶パネルは、サイズが大きくなるとバッテリー消費が大きくなるのですが、今回はサイズが大きくなったのにバッテリー駆動時間は長くなりました。同様に、薄さもtype Pの液晶パネル1枚分くらい薄くなっています」

VAIO Xの液晶モジュール

VAIO Xの液晶モジュール。スペックとしては、画質に定評のあるtype Tのものと同様を維持しながら、薄型化・軽量化が図られた。上部には無線LAN・WANのアンテナが集まる構造だ

新木「type Tの液晶パネルをベースに、新規設計しました。重さ、薄さはTに比べ25%減少していますが、液晶パネルとしてのスペックは同等を維持しています。発色もNTSC比100%を確保しました。消費電力的に言えばtype Pを若干下回り、一般的な10型クラスのネットブック用のものに比べて、半分くらいになっているはずです」

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