住所、名前まで暗号化出来るキーロガー対策も
MacにもTwitterなどを通じて脅威の手が伸びる
―― 他社のソフトと比べて差別化を図っているポイントはありますか。
長島 これまでもキーロガー対策として英数字で入力されたパスワードの暗号化をしていたんですが、今回から住所や名前など、2バイト文字を含むすべてのフィールドを保護出来るようになります(キー入力の暗号化は2009年10月~12月に無償提供を予定)。
これはアメリカのストライクフォーステクノロジーズ社と協業して実現するものです。InternetExplorerだけではなくFirefoxにも対応予定です。こうしたキー入力の暗号化を他社では取り入れていないので、これは新しいポイントだと思いますね。
それから、パソコン初心者の方のための特別なパックも用意しています。この保険&PCサポート付きのパックで、毎日朝9時から24時まで、電話やメールなどでパソコンの操作に関する電話質問を受け付けるというものです。これは「パソコンに不慣れな親へのプレゼント用」という使い方も出来るかもしれませんね。
―― 今回からMac版もリリースされていますね。
長島 これまでは「Macなら安全」という考えがあったというのは事実で、実際、ウイルスやスパイウェアの数そのものがWindowsと比べたらはるかに少なかったんですね。ただ、脅威が少ないからといって対策をしないというのはおかしい。その中でも脅威の例は出ているんです。
たとえば偽セキュリティーソフト「Mac Sweeper」が登場した事件であったり、今年の6月にはTwitterのユーザーアカウントをハッキングして「人気女優のAVがここで見られる!」という不正なURL付きのコメントを投稿した事件がありました。
これはコーデックに偽装したウイルスのダウンロードを促してくるものなんですが、WindowsであればWindows用のウイルス、MacであればMac用のウイルスをダウンロードしてくるという、珍しい事例です。iPhone/iPodの販売をきっかけにApple製品が多く市場に浸透し、攻撃者もそれを意識して狙っているんですね。
―― 今年の脅威のトレンドと、それについての対策を教えてください。
長島 USB接続で感染するウイルスが流行しています。これはUSBメモリーに不正な設定ファイルを作成し、Windowsの自動実行機能を悪用して、USBメモリー内にある不正プログラムを自動実行させるものです。
ウイルスバスターには現在、USBメモリーそのものに対するプロテクトはありません。ですが、USBメモリーの中の不正プログラムが自動実行されようとしたときにブロックするようになっています。
それから海外で目立っているのはTwitterなどSNS系の被害です。新興企業が多く、セキュリティー対策がそこまで出来ていないところも多いんでしょうね。そういったところを入り口としてフィッシング詐欺サイトに誘導していくケースが増えています。
―― ネット経由で感染するケースが多いんですね。
長島 そうですね。最終的につなげるのはほとんどウェブなんですよ。現に、不正プログラムの90%はHTTP経由だったという弊社の調べもあります。それもブラウザーを立ち上げるわけではなく、バックグラウンドで通信を行なっているので、ユーザーには目に見えているわけではありません。だからこそセキュリティーソフトで防ぐ必要があると思いますね。
―― ユーザーにこう使ってほしいという活用例などがあれば教えてください。
長島 基本的にはそのまま使っていただくのがいいと思いますが、たとえば仕事などの都合に合わせてスキャンのスケジュールを変更したりといったことは出来ると思います。それからカスタマイズではないんですが、ゲームをするときにはファイヤーウォールの設定を変更する必要が出てきます。Windowsのファイヤーウォールの設定は初心者の方にはとても難しいんですが、ウイルスバスター2010に搭載されているファイヤーウォールでは簡単に設定出来るようになっていますので、お勧めしたいですね。
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