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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第57回

ニュースは鮮度より品質で勝負 「駄文にゅうす」のネタ探し術

2009年09月21日 16時00分更新

文● 古田雄介

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心――独自のネタ探しでどこまでやれるのか知りたい

―― まずは「はっぴい!ぱらだいす!」を始めたきっかけを教えてください。

From E はっぴい!ぱらだいす!は2000年頃に始めましたが、最初はHTMLの書き方が分からなかったので、ローカルでポツポツやっていました。ちゃんと公開するようになったのは2002年3月頃だったと思います。当時は「ホームページで世界に情報を発信しよう」みたいな空気があったので、何となくそれに乗っかって日記や自作のイラスト、Flashなどを公開していました。特に何も考えていなかったですね。

From E氏。駄文にゅうすを始めたきっかけとして、他にも「自宅のある富山県では新しいアニメの放映が少ないのですが、地方在住のままで最新の話題について行けるのか」「無料サーバーでどこまでやれるのか」といった疑問や興味もあったという。なお、現在は有料サーバーに移行している


―― この中の「駄文日記」から独立するカタチで駄文にゅうすが生まれたんですよね。

From E そうですね。はっぴい!ぱらだいす!の運営を続けているうち、2002年頃から巡回する個人ニュースサイトの数が増えていきました。すると、各サイトの傾向みたいなものが自然と見えるようになって、色々と感じるところが出てきたんですよね。

 典型的なパターンではないニュースの紹介の仕方はないものかと、自分でやってみたのが「駄文にゅうす」の始まりです。当初は3ヵ月程度続ければいいやと思っていました。今でも続いているというのは、自分でも予想外ですね。


―― 具体的にどんな傾向がありましたか?

From E 情報の入手先が似通っているサイトが多かったですね。色々な個人ニュースサイトやテキストサイトで、面白画像やFLASH、考察記事、ネタなどが紹介されていましたが、似たようなラインアップのサイトがたくさんあったんですよ。大手ニュースサイト経由で孫ネタ、ひ孫ネタを引っ張ってきて、ネタ元へのリンクと短いコメントで終了するスタイルが目立っていて、独自に関連情報を添えたりするサイトのほうが少ない印象でした。

 結果として、どこのニュースサイトに行っても同じような話題にしか触れられず、各サイトの個性も見えてこないということが多かったんですね。それで「どうして何処のサイトも同じ様なネタや記事を紹介しているのか? 他からネタを引っ張らずに独自にネタ探しをするのはそんなに難しい事なのか?」と考えるようになりました。

 サイト管理人さん同士のつながりや馴れ合いを感じることもありましたね。そういう交流なしでもアクセス数は増やせるものなのかという興味が沸いたのもあります。そうした疑問に対する答えなんてどこにも公開されていません。ならば、情報収集も兼ねて検証のために自分でやってみようと思ったんです。

駄文にゅうすの母体となった「はっぴい!ぱらだいす!」。現在も公開されているが、更新はほとんどストップしている


―― なるほど。独特な記事の選び方は最初からのコンセプトなんですね。

From E スタート時の基本方針は、ネット上の面白いニュースや雑学・豆知識・考察等の記事や他のサイトでは取り扱わない怪しいネタ、および、まだ紹介されていない記事を選ぶというものでした。ただ最近は、純粋に未発掘の記事を紹介するというのは難しくなっていますね。

 はてなブックマークなどのソーシャルブックマークサービスの普及で、何かが話題になってから広まるまでの時間がすごく短くなっているんですよ。昔だったら、面白い情報を見つけたあと、じっくり周辺を調べて1週間後に発表するということが普通にできましたが、今はそれでは時期を逸してしまいます。だから今は、始めたころほど鮮度を意識した記事選びはあまりしなくなっている気がします。

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