パラレルポートに出てくる信号
パソコンの背面にあるパラレルポートコネクタには、こんな信号が来ている。
信号番号 | 名称 | プリンタでの役割 |
---|---|---|
1 | ストローブ | PCと同期するための信号 |
2~9 | データ | 8ビットのデータ |
10 | アクノリッジ | PCと同期するための信号 |
11 | プリンタビジー | プリンタが動作中の信号 |
12 | 紙切れ | 文字通り用紙がない! |
13 | セレクト | プリンタ接続中の信号 |
14 | 自動紙送り | 次のページまで連続用紙を送る |
15 | プリンタエラー | エラー発生 |
16 | プリンタリセット | プリンタを強制リセット |
17 | セレクト | プリンタを強制接続 |
思いっきりプリンタディペンドな信号名だが、パソコン側はビット(フラグ)のON/OFFを入出力しているだけで、相手がプリンタでなくてもかまわない。プリンタポートとして利用されていたときは、プリンタ側がこれらのデータを読み書きして文字を印刷していただけなのだ。
また、CPUがパラレルポートのこれらの信号をセット/リセットするとビットの状態が保持(ラッチ)される。電気的には、セットしたときに該当する端子が5Vとなり、リセットすると0Vとなる。
その状態を確認するのに、LEDを差し込んでみると一目瞭然。データに応じでLEDが光ったり消えたりするのが分かる。
問題は、5Vの電圧が出ているものの、電流がしょぼしょぼなので、そのままで駆動できるのはLEDぐらいってトコだ。モーターやリレーなどは、電流不足で動かせない。
そこでこれらの装置を駆動できるようにするのが、トランジスタだ。パラレルポートの微弱な電流をトランジスタが検知して、外部電源の電流をON/OFFする。このしくみについては、以前に掲載した「よろしくパソドック」の「たまにはネタなしで真面目に工作! 激安のPC電源連動型コンセントを作る!」(関連記事)を参照してほしい。
プリンタポートを操作するには
ドライバが必要なんじゃない?
Windowsはパソコンについているすべてのコネクタを管理している。いいや、コネクタどころじゃなくて、半導体からスイッチまで手中に収めている悪の化身だ。唯一その手から逃れているのは、リセットスイッチぐらいだろう(Windowsからも強制リセットできるが、リセットボタンとは微妙に違う)。
新しいパソコンを購入したり、他部署の人間や施設を利用するには、嫌な上司をあれこれ説得して各所でネゴシエーションが必要になる。パラレルポートもこれと同じで、上司であるWindowsをスッ飛ばして直接制御することができない。
が! 「パソコンをパーツ単位で購入し、領収書を何ヵ月かに分けて申請すれば、上司の説得も必要ない」というような、裏技がリアルにはある。パラレルポートにもやはり裏技があり、Windowsに隠れてこっそりとプリンタポートを直接制御するソフトがある。
それがフリーソフトの「VBIOSCM」だ。これをインストールすると、Visual BasicやExcelのVBAなどからでも、こっそりプリンタポートを制御できるというスグレモノ。
つまりVBIOSCMを使うと、パラレルポートの信号線を自由自在にセット/リセットできるので、その先に接続しているリレーをプログラムで制御できるというわけだ。
リレーユニットに必要な材料と回路
ここでは8チャンネルのリレーユニットを作ってみる。必要な材料は次の通り。
パーツ番号 | 名称 | 個数 | 単価 | 購入先 |
---|---|---|---|---|
1 | トランジスタ(2SC1815) | 8 | 30円 | 千石電商 |
2 | 抵抗(1kΩ) | 8 | 20円 | 千石電商 |
3 | ダイオード(1S1588互換) | 8 | 20円 | 千石電商 |
4 | リレー(12V駆動) | 8 | 400円 | 千石電商 |
5 | 抵抗(240Ω) | 8 | 20円 | 千石電商 |
6 | LED | 8 | 50円 | 千石電商 |
7 | 名刺大のユニバーサル(蛇の目)基板 | 2 | 70円 | 秋月電子 |
8 | ACアダプタ(12V 1A程度) | 1 | 750円 | 秋月電子 |
9 | ACアダプタ用コネクタ | 1 | 100円 | 千石電商 |
10 | D-SUB 25ピン(オス)コネクタ | 1 | 50円 | 秋月電子 |
11 | D-SUB 25ピン用ケース | 1 | 100円 | 秋月電子 |
12 | ケース(タカチ YM-250) | 1 | 1500円 | 千石電商 |
13 | 電線 |
もちろんこれ以外に半田ごてやドライバなどの工具に加え、基板をケースに固定するためのネジも必要になる。
また、8と9の電源関係は、使わなくなった外付けのCD-ROMドライブなどをばらして、電源ユニットを再利用することも可能。パソコン内部の電源から12Vを確保してもかまわない。
リレーは駆動音が「カッチンコ! カッチンコ!」とうるさく、無音でON/OFFできる素子もある。メカトロニクス出身の筆者は、リレーの駆動音にエクスタシーを感じるため、ここはあえてうるさいリレーにしてみた。なお、高速にON/OFFを繰り返すとブザーとしても利用できる(笑)。静かじゃなきゃイヤ! という読者は、フォトカブラやSSRというキーワードでググって、改造していただきたい。
(次ページへ続く)
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