サーバー/クライアント問わず、国内の多くの企業を顧客に持つデル。Windows 7のリリースは、企業でのクライアントPC導入にどのような影響を与えるのか? Windows 7のコスト削減効果から新機能まで、デルが考えるWindows 7企業導入のポイントを聞く。
セキュリティ機能を低コストで使えるのがWindows 7
堀内 「多くの企業は、Windows 7には好感を持っているようです。ただ、実際の導入ということになると、少し時間がかかるでしょう。今年から来年の春ぐらいまでは、導入テストということで、多くの企業では自社で使用しているアプリケーションの互換性テストなどを繰り返します。また、ほとんどの企業は、クライアントPCを計画導入しているため、1000人規模の企業なら、年間250台ずつ入れ替えて、4年間かけて新しいPCに入れ替えることになります」
IT部門などがしっかりしている大企業などは、堀内氏の言うように計画的にITインフラのアップグレードやリプレイスを行なっている。しかし、中小規模の企業においてはどうだろうか?
諸原 「ITインフラへの投資は、規模の大小ではなく、どのくらいITを戦略的に使っているかということで変わってきます。数百台程度のクライアントPCを導入する中規模企業の場合、ある程度の計画を持ってITインフラへの投資を行なっています。こういった企業においては、不況下でも積極的にITインフラに投資することで、ITを戦略的に利用していき、コストパフォーマンスをアップしていこうと考えているようです。
Windows 7のEnterprise版/Ultimate版には、AppLockerやBitlocker To Goなどのセキュリティ関連の機能が用意されています。今までは、こういった機能を実現するためには、XPにサードパーティのソフトを導入しなければならなかったのです。これが、Windows 7だけで可能になるというのは、コスト的にもメリットが大きいですね」
Windows 7のEnterprise版/Ultimate版に含まれる「AppLocker」は、クライアントPCで動作可能なアプリケーションを認証サーバー(Active Directory)に登録しておき、他のアプリケーションは動作させない機能だ。これを使えば、社員は余計なソフトをPCにインストールできなくなる。つまり、Winnyなどのセキュリティ上問題のあるソフトにより、重要なデータがネットに流出したり、顧客データが盗まれることもなくなる。
「BitLocker To Go」は、USBメモリを暗号化する機能だ。指定したパスワードを入力しないと、USBメモリに保存されているデータにアクセスすることができない。これにより、USBメモリに顧客データを入れていて、そのUSBメモリをなくしたり、盗まれたりしても、暗号化されているため、データが誰に利用されることもなくなる。
Windows 7以前、こういったセキュリティ機能を実現するには、OSにサードパーティのソフトを追加しなければならなかった。このため、セキュリティ対策にある程度のコストが必要だった。しかし、Windows 7では、AppLockerやBitLocker To Goなどの機能は、OSに標準で入っているため、追加コストをかけなくても、ある程度のセキュリティ対策を行なえるというわけだ。
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