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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ

iPhoneとAndroid、どっちを使う?(続)

2009年09月10日 06時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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モバイルで「マルチタスク」を
使いこなす方法

 iPhoneで、「こんなことができる」とか、「iPhoneならこうなる」ということも、基本的にはアプリとネットとタッチ画面とGPSなどのセンサーの組み合わせによるものである。それは、前回のAndroidの「INTENT」のようなアーキテクチャ的に込み入った話ではなく、気が利いていて、誰でも理解できる単純さがあり、米国のテレビ通販のような便利さのアピールがある。

 もっとも、iPhoneでできることのほとんどすべてはAndroidでもできる。事実、Android Marketには、iPhoneで動いているようなアプリが日々登録されている。ところが、実際に両者を手に入れて使いこんでいくと、「何か」が違うのだ。

 Androidでも、アイコンをタップすればアプリが起動する。端末には、家のマークの「ホームボタン」がある。これを押すとアプリ実行中でもトップ画面に戻る。この点はiPhoneと同じように見える。ところが、ホームボタンを押したからといってアプリが終了したわけではないのである。ネットラジオのソフトなどで試してみればすぐ分かるが、アプリは、見えなくなっただけでAndroidの中で動き続けているのだ。

 Androidは、iPhoneとは異なり「マルチタスク」なのである。

 iPhoneは、音楽再生中にもアプリケーションを使うことができる。わたしの携帯電話(東芝の「biblio」)は、画面を上下に分割して2つの機能を使うことすらできる。しかし、どちらも使えるソフトが限られるなどの制限がある。それに対して、Androidは、ごく普通のPCのマルチタスクのように、複数のアプリをどんどん起動していくことができる。

 モバイル端末で、マルチタスクにどこまで意義があるのだという意見もあるだろう。iPhoneで1つずつアプリを起動して、使って、終了するサイクルを繰り返すのと、Androidで、アプリを起動して、使って、次のアプリを起動して、使ってを繰り返すのに、それほど大きな違いは生ずるのか? 実際には、ファイルのダウンロードなど時間のかかる処理がバックグラウンドで行なえるのは、なかなか快適ではあるのだが。

 しかし、Androidは、マルチタスクとしたことで「ふだんの生活」的でなくなっている。Androidにおけるアプリケーションの追加起動、選択、終了のやり方は、なんとも不思議な手順になっているのだ。何か妥当性のある理由がそこにはあるのだろうが、2ヵ月近く使っているいまも、それを見つけられずにいるのである。

「Palm Pre」

米国では、発売後にかなり話題となっている「Palm Pre」。

 iPhoneは、マルチタスクを避けたことでシンプルで使いやすいユーザーインターフェイスとなっている。Androidは、マルチタスクとしたことで効率的に使えはするが、ユーザーインターフェイスが直感的とは言いがたくなっている。そんな状況の中で、颯爽と登場したのが「Palm Pre」(パーム・プリー)のようである。

 Palm Preでは、複数起動したアプリケーションを「Card」と呼ばれるインターフェイスで切り替えて使える。頻繁に使うアプリを指を左右にフリックすることで、手際よく使えるようになっている。海外の情報サイトを見るとこの「Pre」に対する評価が非常に高いのに驚かされる。『The New York Times』の記事も絶賛に近いものだったと記憶する。「Palm 7」や「Toreo」シリーズの影響下にあるともいえるわけだが、スマートフォン戦線に、ちょっとした穴馬登場といったところだ。

 それでは、iPhoneにはないマルチタスクの使い勝手はどのようになっていくのか? ここがいま、世界のモバイル関係者の、最も注目するところのようである。

 ※次回に続く


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