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飛行機と受信機のちょっとイイ関係

2009年09月08日 17時35分更新

文● 吉田重戦車 写真● 藤吉隆雄

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ブルーインパルス

ブルーインパルスとは航空自衛隊のアクロバットチームだ。各地の航空祭や大規模な記念式典で演技を見ることができる

 ブルーインパルスの飛行を見に出かけた時のことだ。会場でふと脇を見たらイヤホンを耳に刺している男性がいた。首からカメラをぶら下げ、手元にはラジオのようなものを持ってしきりにいじっている。と、突然体の向きを右側に変えるとカメラを空に向けた。会場アナウンスで「ブルーインパルスの編隊が会場右手側から進入してきます!」とアナウンスがあったのはその後。男性は会場アナウンスより先になぜブルーインパルスが来るのがわかったのか。イベントの関係者にしては服装が違いすぎる。

 会場で会った知人(飛行機撮りの師匠)に聞いたら、ああ、それはエアバンドレシーバーで交信を傍受しているんだ、と教えてくれた。知人も持っていて見せてくれた。


エアバンドレシーバーとは

 エアバンドレシーバー(以下レシーバー)は受信機の一種で、旅客機の航空無線や軍用無線の交信を傍受できる。冒頭の男性は、レシーバーを使ってブルーインパルスと基地の交信を聞き、会場上空に編隊が現れる方角を知った訳だ。マニアだけでなく、プロのカメラマンも仕事上の必要性からレシーバーを使っている場合がある。レシーバーを使うことで、航空機の離発着のタイミングやアクロバットチームの次のアクションを知ることができる。

 航空無線、軍用無線を聞くには資格が必要なのだろうか。実は資格は必要ない。受信機と言えばラジオもそうだが、周波数の関係上、普通のラジオで航空無線、軍用無線を受信できない。聞きたいなら航空無線や軍用無線が使用する周波数が受信できるレシーバーが必要だ。知人によるとアイコムIC-R5やスタンダードVR-150が人気とのこと。

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 アイコムIC-R5は小型のボディで外でも取り回しが簡単、胸ポケットにすっぽり収まるサイズだ。電池にエネループが使えるが、他機種に比べバッテリーの消費がやや早いので、外に持ち出す際は予備のエネループを持っていくのがベスト。エアーバンド以外に通常のAMやFM放送も受信範囲に含んでいるので、普通のラジオにもなる。

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 VR-150はAM、FM放送が受信でき、電池の持ちも良い。ふだんは電池を抜きACアダプターだけで使い、航空祭や災害時には電池で使うのもありだろう。液晶のバックライトがオレンジ色というのがプロ仕様っぽくて格好いい。

 レシーバー趣味がさらに本格的になると、自室に据え置き型のレシーバーを設置し巨大な受信用アンテナを立て傍受を楽しむ人や、英国製装置で航空管制信号を受信、PCに管制室風の情報画面を表示させる人もいるとか…。

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 なお、「航空無線や軍用無線の傍受は違法じゃないの」と疑問を持つ人がいるかもしれないが、傍受自体は合法だ。ただし、交信内容を他人に漏らしたり掲示板やSNSに書くことは違法。航空祭や空港で傍受する際も、イヤホンを使い傍受内容が他人に聞こえないようすること。


周波数はどうやって調べる?

タッククロス2の迫力ある交差シーン

ブルーインパルスの演技、タッククロス2の迫力ある交差シーン

 航空無線や軍用無線はどうやって調べればいいのだろう。基地に聞いても教えてくれない。知人によると書籍やムックでだいたいの使用周波数のあたりをつけるのが常道だ。例えば「航空無線のすべて 2010」は、人気の航空無線ガイドの最新版。旅客機の航空無線や軍用無線の傍受方法、空港や航空イベントで使われた周波数やコールサイン(呼出符号)が解説されている。

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 知人によると、本書や類書で基本的な知識を固め、あとは現地で交信を傍受し調べるのがベストとのこと。航空無線の基礎知識や自衛隊と米軍エアーバンド受信の入門コーナーもある。一通り目を通し、現地に持って行けば役に立ちそうだ。

 米国空軍のアクロバットチーム「サンダーバーズ」がいよいよ日本に来る。本来、米国に行かないと見られない演技を間近で見られる訳で、まさに今年はエアショーの当たり年だ。サンダーバーズ来日も控え、ムラムラと航空祭見物にレシーバーを持って行きたくなった。「ウチにもなんかレシーバーみたいな機械があった気が」と家捜ししたら出てきたのが、昔買って放置していた小型のアマチュア無線機。レシーバー機能もあったはずだけど、昨日見たら電池液漏れで壊れていました。「エアレシーバー」で見に行きます(泣)。

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