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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第56回

「マグロの解体ショーぬいぐるみ」作った女子の思考回路

2009年09月07日 16時00分更新

文● 古田雄介

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工作技術とともに読者が求めるレベルも上がる

―― 一方で、工作のスキルやバリエーションはアップしていますよね。

乙幡 そうですね。さすがにやっていくうちに、知識がつきますし、どんな材料があるのかもつかめますし。ただ、いつもイメージ先行なので、作り始めてから後悔するというのはよくありますね。イメージの中ではすんなり完成しているのに、実際やってみるとすごく大変で締め切りギリギリになってしまったりとか。

 印象に残っているのは2007年に作った「サーモグラフィ・セーター」という作品ですね。サーモグラフィのように見えるセーターを手編みしたんですけど、やってみると本当に大変で、3週間もかかりっきりになってしまいました。普段の工作だったら3~4日もあればできるんですが、本当にイチから編んでいくしかなかったから、あれは大変でしたね。

 そうしたこともあるので、最近はなるべくイメージ段階で徹底的に固めるようにしています。具体的な材料や工法を練って練って「これで大丈夫」というのが固まったら、一気に材料を買いに行って作り出すというふうにしていますね。

オツハタ作品その4「サーモグラフィ・セーター」。表に温かい感じのサーモグラフ、裏は寒い感じに編んだ力作。2007年12月作成


―― 過去の作品を見返して、「今だったらこうするのに」という気持ちになったりしますか?

乙幡 あー、よくありますね。一番最初に作った段ボールお茶室は過去に再チャレンジしたことがあるんですけど、それもイマイチの出来で「何でこうも上手くいかないんだろう」と思っている状態です。ただ、最近になって、作業時間が足りないのが原因と分かってきました。締め切りギリギリまでばたばたやっているから、結局はゴミ箱行きになるものが出来てしまうという(笑)。

 やっぱり、ある程度時間をかけて作ったもののほうが完成度が高いですし、記事の反響もいいんですよね。ドタバタしていると写真を見ただけで分かっちゃうんです。だから、もっと時間をかけて、もっと小さくてトランクに入るようなコンパクトお茶室を作りたいなと思っています。


―― やっぱり、読者から求められるクオリティも上がっていますよね。

乙幡 そういうプレッシャーはちょっとあります。昔は、もっと適当なものを作って、失敗しちゃったアッハッハーみたいなノリの記事もあったんですけど、今は怖くて書けないですね。失敗の仕方によると思うんですけどね。少なくとも「時間かけりゃ、もっとマシなの作れるんじゃないか」と言われるような失敗はもう出来ません。

創作の辛さやプレッシャーについては「なんか、やり遂げると『やったー、できたー!』となって、辛さを忘れちゃうんですよね。喉元過ぎればというやつで」という


―― ちなみに、記事掲載用ではなく、あくまで自分用に工作したいという気持ちはありますか?

乙幡 ごくプライベートな部分でいえば、手持ちの服をバッグに作り替えたいと思ってストックしています。だけど、どうしても迫っている締め切りを思うと、そっちには手を出す気が起きなくて、眠っていますね。

 例外としては、最近ハマりつつある電子工作ですかね。プログラムを組んでLEDをピコピコ光らせるという初歩の段階からやっているのですけど、これは記事を抜きに色々なものを作りたいと思っています。アートっぽい作品を作ってみたいという欲求も沸いてきたので、電子工作で個展が開けたらいいなと思っています。電子工作というテーマが決まっているから、私的に色々なアイデアが沸きやすいですしね(笑)。

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