静電場を監視して
地震との関連性を調べよう!
キットが完成したら、いよいよ測定だ。マニュアルによれば、網目の細かいステンレス製のザルがいいとしているが、パスタの湯きりザルのように、ステンレスに丸い穴をいくつか開けたパンチングボードを使ったザルが最適かと思われる。これなら、大気中の電場をかなり遮蔽できるし、中に入っている測定器のLEDも見える。
センサの設置場所は、下に金属がない場所を選ぶこと。スチール製のデスクなどは、大地からの電場を机が遮蔽してしまうからだ。
まず感度を10倍にセットして、スイッチON。すぐに誤動作してしまうようなら、感度を5倍、1倍と下げて誤動作しない最大感度を調整する。先にも述べたとおり、静電気は湿度によって逃げやすくなるため、雨降りシーズンなら10倍、冬の乾燥した時期なら1倍にするなど、季節に合わせて調整するといい。
あとは数週間放置して、測定を続けてみよう。もし赤いLEDが点滅している場合は、テレビやラジオの受信障害がないか? 雲の様子は? 犬の様子は? ミミズは? と、いにしえの言い伝えと比較してみるといい。それまでの「迷信」に科学的な裏づけを取れるかも知れないのだ!
2週間測定してみたけど
地震がこなくて検知できず……
筆者はコミケ帰りのアキバで、このキットを買ったので測定期間は2週間程度。その間に発生した地震を、気象庁の地震データベースから抜粋すると以下のようになる(※マグニチュード3.0以上でかつ、最大震度が2以上ものを抜粋。8月27日現在。 )。
発生日時 | 規模(M) | 震源の深さ(km) | 震源地 | 最大震度 |
---|---|---|---|---|
2009年8月15日19:45:48 | 4.6 | 50 | 根室半島南東沖 | 3 |
2009年8月15日20:47:21 | 3.3 | 22 | 駿河湾 | 2 |
2009年8月16日14:08:36 | 3.3 | 21 | 駿河湾 | 2 |
2009年8月16日14:27:36 | 3.4 | 7 | 岩手県内陸南部 | 2 |
2009年8月17日02:21:07 | 3.8 | 49 | 千葉県北東部 | 2 |
2009年8月17日02:23:50 | 3.6 | 13 | 福岡県北西沖 | 3 |
2009年8月17日09:05:49 | 6.7 | 48 | 石垣島近海 | 3 |
2009年8月17日19:10:54 | 6.6 | 42 | 石垣島近海 | 2 |
2009年8月17日19:15:05 | 5.3 | 43 | 石垣島近海 | 2 |
2009年8月17日20:40:11 | 3.9 | 14 | 福岡県北西沖 | 3 |
2009年8月18日06:58:55 | 4.4 | 92 | 栃木県北部 | 3 |
2009年8月18日19:22:48 | 3.1 | 19 | 駿河湾 | 2 |
2009年8月18日22:17:35 | 5.9 | 44 | 石垣島近海 | 2 |
2009年8月20日13:49:43 | 3.4 | 54 | 沖縄本島近海 | 2 |
2009年8月20日23:09:13 | 3.4 | 19 | 駿河湾 | 2 |
2009年8月21日08:51:16 | 4.2 | 64 | 千葉県北西部 | 3 |
2009年8月24日04:46:26 | 3.4 | 33 | 日高支庁中部 | 2 |
2009年8月24日13:30:39 | 3.6 | 19 | 新潟県上中越沖 | 3 |
2009年8月24日14:26:16 | 5.4 | 172 | 青森県西方沖 | 3 |
2009年8月25日02:22:49 | 4.5 | 32 | 浦河沖 | 3 |
2009年8月25日20:19:26 | 3.6 | 26 | 千葉県北東部 | 3 |
マグニチュード6以上の地震は、8月17日に石垣島近海で発生したものの、神奈川に住んでいる筆者は検知不能。8月25日には、近くの千葉県で発生したが、マグニチュードが3.6のため検知不能だった。
実験とは無関係だが、8月24日の青森県西方沖は震源の深さが172kmと非常に深い。これは先にも説明したとおり、太平洋プレートが地中深くで折れ曲がったことによる地震だろう。内陸部で発生している地震は、おそらく活断層によるもの。こうして地震に関する知識があると、地震速報をより深く分析できるから面白い。
(次ページへ続く)