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もっと知りたい! Snow Leopard ― 第3回

Snow Leopardの深層・その1

やっぱりスゴい! Snow Leopardの「64bit対応」

2009年09月01日 12時00分更新

文● 千種菊里

16EBという莫大なメモリー上限

 アプリケーションの64bit化では、ひとつのアプリケーションでより多くのメモリーを扱えるという利点も生まれた。

 これまでの32bitアプリケーションは、メモリー上での位置を指し示す「ポインタ」が32bit幅のため、2の32二乗byte、つまりは約4GBまでしかメモリーを利用できなかった。Mac OS Xでは、OSや「Cocoa」といったフレームワークが利用する分があるため、アプリケーションが自由に使えるのは2GB程度だ。たとえ8GBの物理メモリーを実装していても、ひとつのアプリケーションで使える上限があったのだ。

 しかし、アプリケーションが64bit化されれば話は別になる。ひとつのアプリケーション内部で、2の64乗、つまり16EB(エクサバイト)という広大なメモリーを指し示すことができる。もちろんそれだけの物理メモリーを持つ現行Macはないが、メモリーの制限が遠くに過ぎ去ったことは分かるかと思う。

 この広大なメモリーを有効活用できるのが、画像や動画、音声を扱うマルティメディア系のアプリケーションだ。

 動画や音声、画像は、テキストに比べてファイル容量が非常に大きい。素早くデータにアクセスできるようにメモリーに読み込ませておくとなると、それこそ2GB程度では足りなくなるくらいの大容量メモリーが必要だ。この種のアプリケーションにすぐそこまで迫っていたメモリー不足が、64bit化で解決する。

 これがSnow Leopard における64bit化のひとつ目の意味だ。


アップルがサードパーティーに指し示す道

 実のところ、これまでのLeopardやTigerでも64bitのプログラムやアプリケーションを作ることはできた。例えば、前ページの「アクティビティモニタ」の図にある「iBench」というアプリケーションは、Leopard上のCocoaアプリケーションだが、きちんと64bitで動作している。

32/64bitの両方のバイナリーを含む「ユニバーサルバイナリ」なら、Finderの「情報を見る」を選ぶことで現れるパネルで、起動するモードを選べる

 やろうと思えばLeopardでもアプリケーションの64bit化はできたのだ。Snow Leopardにおけるそれは、「アップルがちゃんとやった」ということに過ぎない。

 しかし、今回はアップルが率先して64bit対応をやってみせたというところに意義がある。64bit化は決して「地雷原」ではない、いい方向であることを自ら指し示すことで、サードパーティーの64bit対応を促す効果があるだろう。これは小さな一歩かも知れないが、偉大な一歩なのだ。

 ただし、アプリケーションの64bit化はいいことばかりではない。アプリケーションが64bitで動作するということは、そこに組み込まれるプラグインやバンドルもすべて64bitでなければいけない。64bitのアプリケーションに32bitのプラグインを組み込んでも、うまくつながらないのだ。

 もしどうしても必要なプラグインがまだ32bit版しかない場合は、アプリケーション本体を32bitで動作させることで一時的にしのげる。よく使われるものとしては、QuickTimeのコーデックやウェブブラウザーのプラグイン、「システム環境設定」の各設定ペインなどが挙げられる。

Snow Leopardの「システム環境設定」では、32bitのパネルを開こうとすると自動的に32bitモードで再起動する

 「ことえり」や「ATOK」といった日本語入力ソフトも、別プロセスのかな漢字変換サーバーと、アプリケーション側に組み込まれるコンポーネントの組み合わせでできている。コンポーネント側が32bit版しかないと64bitアプリケーションに組み込むことができず、かな漢字変換ができなくなる。

 もっとも、Leopardで搭載された新しいインプットメソッドフレームワーク「IMKit」を使っていれば、自動的に64bit対応を果たせる。IMKitでは、64bit化されたIMKitの共通コンポーネントを用意しているので、各日本語入力ソフトはこれを利用すればいい。つまりIMKitを使っていることえりや、ATOK 2008、2009は、64bitアプリケーションだからといって即、使えなくなるわけではない。

 一方で、Leopard登場以前の古い日本語入力ソフトはIMkitを利用しておらず、64bitにも非対応の可能性が高い。Snow Leopardの導入を機に最新のものを揃えるといいだろう。

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