TSMC 110nmプロセスで思わぬ苦戦を強いられる
問題はこの次である。まず2004年末に「R430」コアの「RADEON X800 XL」が登場する。こちらはR420をベースとしながら、台湾TSMCの110nmプロセスで製造し、インターフェースをPCI Expressに変更したものだ。ところが、どうもこのTSMC 110nmとATIの相性が、あまりよくなかったらしい。
NVIDIAが「NV43」コアから「NV44」、さらに「G70」などでこれを多用したのに対し、ATIはR430コアと後述するRV410、それとRV370で利用したものの、早々と見切りをつけた感が否めない。動作周波数もそれほど伸びず、この結果として、例えば「RADEON X800 GTO」の場合、R430コア以外にR420/R423コアの製品まで入り混じるという状況になっていた。結局R430はそれほど広く使われることなくフェードアウトすることになる。
これは、R420コアをベースとしたメインストリーム向けの「RV410」(RADEON X700)も同様である。TSMCの110nmを使い、パイプラインを物理的に省いたものだが、やはり性能・売れ行きともにかんばしくなかったようで、派生型は一切でなかった。むしろ、R420/R423をベースに、パイプライン構成をRV410同様の“6/8/8/8”とした「RADEON X800 SE」がRV410とそれほど時間を置かずに投入され、こちらが使われるケースが少なくなかった。
また、バリュー向けにはR420の派生型を作らなかった。代わりに、前世代製品の「RV360」をベースに「RV360にPCI Expressブリッジをボルトオンしただけ」と言われた「RV380」と、これをベースにプロセスをTSMC 110nmに移行した「RV370」がリリースされる。
面白いのは、RV370はRV380の動作速度に、ついに追いつかなかったことだ。やはり動作周波数が上がらないという問題を、ATIは110nmで抱えていたのではないかと思われる。これを反映して、当初「RADEON X600 XT」として発売されたRV380は、RV370で「RADEON X300」まで数字を落とし、後に多少性能が上がったRV370を「RADEON X550」として発売したあたりが、このラインナップの性能を物語っているとは言える。
ところで、RV410とかR430といったコアはPCI Express版のみしかないため、これらを従来のAGP対応プラットフォームで使うことができなかった。現実問題として、2004年頃はまだAGPが多く利用されており、こうした用途に向けてATIは、「RIALTO」と呼ばれるPCIExpress/AGPブリッジを別チップの形でリリース、これを使ったAGP対応製品がリリースされたりした。
最後に、R420世代の大きな特徴は、NVIDIAのマルチGPU技術「SLI」の対抗となる「CrossFire」が発表されたことだ。ただし、利用できるのはR423もしくはR430/R480、つまりPCI Expressのインターフェースを搭載したモデルのみ。また、単に2枚のRADEON X800搭載カードを使うだけではだめで、片方のカードはCrossFire対応コントローラーが搭載されていなければならないなど、ちょっと制約の多いものであった。この制約は次の「R500」シリーズにも引き継がれており、このあたりが解消されるのは、次回で説明する「R600」シリーズの登場を待つ必要があった。
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