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リニューアルの成否をAnalyticsでアクセス解析 (3/5)

2009年08月28日 15時37分更新

文●中野克平/デジタルコンテンツ部編成課

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新規ユーザーとリピーターの非直帰セッションも調べよう

 ユーザーサマリーシートを使うと、ノーリファラー、参照サイト、検索エンジンといったトラフィック別、新規ユーザーとリピーターでも非直帰セッションの平均ページビューを把握できます。今回はリニューアルがテーマですので、初めてWebサイトを訪れ、使い勝手に戸惑ってしまう新規ユーザーと、多少不便でも使い勝手になれてしまったリピーターを比較し、Webサイトの問題点を洗い出します。

 以下は、ユーザーサマリーシートに記入する新規ユーザーの指標です。総セッション数(この場合は単に「セッション数」です)、平均ページビュー、直帰率は「ユーザー」→「新規ユーザーとリピーター」メニューで表示される「新規ユーザーとリピーター」レポートで「New Visitor」をドリルダウンしたレポートから転記します。新規ユーザーの「滞在中のページビュー数が1ページビューのセッション数」は分かりませんので、新規ユーザーのセッション数×直帰率を計算して求めます。新規ユーザーの「ページビュー」も分かりませんので、総セッション数×平均ページビューを計算して求めます。

総セッション数
S
718,786
ユニークユーザー
U
-
訪問頻度
S÷U
-
平均ページビュー
Pa
2.93
直帰セッション 直帰率
B
58.38%
滞在中のページビュー数が1ページビューのセッション数
(新規ユーザーのセッション数×直帰率)
S1,P1
419,627
非直帰セッション 2ページ以上読み進むセッション数
S-S1=S2
299,159
ページビュー
P-S1=P2
1,686,416
平均ページビュー
P2÷S2
5.64
ページビュー(総セッション数×平均ページビュー)
P
2,106,043

 次に、リピーターの指標もユーザーサマリーシートに記入します。新規ユーザーと同様、「新規ユーザーとリピーター」レポートで「Returning Visitor」をドリルダウンし、Google Analyticsからリピーターの指標を計算します。

総セッション数
S
1,834,046
ユニークユーザー
U
-
訪問頻度
S÷U
-
平均ページビュー
Pa
3.99
直帰セッション 直帰率
B
44.07%
滞在中のページビュー数が1ページビューのセッション数
(新規ユーザーのセッション数×直帰率)
S1,P1
808,264
非直帰セッション 2ページ以上読み進むセッション数
S-S1=S2
1,025,782
ページビュー
P-S1=P2
6,509,580
平均ページビュー
P2÷S2
6.34
ページビュー(総セッション数×平均ページビュー)
P
7,317,844

 以上で、Webサイト全体と新規ユーザーとリピーターの指標がそろいました。リニューアルの目的は、回遊を促すことですので、必要な指標は直帰セッションと非直帰セッションの直帰率平均ページビューです。

Webサイト全体 新規ユーザー リピーター
直帰率 48.10% 58.38% 44.07%
非直帰セッションの平均ページビュー 6.18 5.64 6.34

 メディアサイトに新規ユーザーが訪れるのは、iPhoneの面白いアプリケーションはないか検索エンジンで探していて、たまたまASCII.jpを訪れたり、ニコニコ動画の話題を取り上げているブログのリンクをクリックしたらASCII.jpの記事だったりするように、参照元サイトや検索エンジンから、記事ページを直接訪れることがきっかけになることが多いです。新規ユーザーは訪問するきっかけが満たされなければ直帰しますし、満たされればコンテンツを読み進めてくれます。何度か繰り返すうちに常連化していくわけです。こうして常連化したリピーターは、ブックマークしているサイト/カテゴリートップの更新を確認するために閲覧を開始することが多く、更新していなければ直帰します。ちょっと分かりにくいので表にしましょう。

●メディアサイトの訪問理由と離脱理由

新規ユーザー リピーター
訪問するきっかけ ・参照元サイトや検索エンジンから記事ページを訪れる ・ブックマーク経由でサイト/カテゴリートップの更新を確認しにくる
・参照元サイトや検索エンジンから再訪する
直帰する理由 ・期待しているコンテンツではなかった ・更新されていなかった
・期待しているコンテンツではなかった

 メディアサイトの訪問理由と離脱理由を頭に入れ、もう一度直帰率と平均ページビューの表を見てみます。新規ユーザーの直帰率が58.38%で、Webサイト全体の直帰率48.10%よりも高い理由は、記事ページの内容が期待に反していた、と考えられます。一方、リピーターの直帰率が44.07%で、Webサイト全体の直帰率48.10%とあまり変わりませんが、更新頻度が高いのか低いのかまでは読み取れません。

「直帰率は低い方がいいと思うのですが、どのくらいが適切なんでしょうか?」――Webサイトの使われ方によって異なります。メディアサイト(ニュース系ブログも含む)のユーザーは、「ニュースを読む」という漠然とした目的で訪れますので、40±5%程度が下限でしょう。ブログのように1本あたりが短く、複数のページにわたる記事が少ないサイトでは、直帰率が70±10%になることがあります。一方、セッションの大半が検索エンジン経由であるプロモーションサイトなどの場合、20±10%程度の非常に低い直帰率になることがあります。

 非直帰セッションの平均ページビューはどうでしょうか。新規ユーザーの非直帰セッションの平均ページビューは5.64でWebサイト全体の6.18よりもやや少ないのは、記事ページから読み始めるのでサイト/カテゴリートップの1ページ分が含まれていないからでしょう。リピーターの非直帰セッションの平均ページビューが6.34でWebサイト全体の6.18とほとんど同じなのは、セッション数の多くを占めるリピーターが、サイト/カテゴリートップから読み進めるからでしょう。

 こうしてみると、新規ユーザーの直帰率を改善するには、

■記事ページ

  • 初めて訪れたユーザーが「関係のないページだ」と一瞬で判断しないように、コンテンツ以外の要素が目立たないように工夫する
  • 次のページ、関連記事への誘導を工夫する

とよいと分かります。また、リピーターの直帰率を改善するには、

■サイト/カテゴリートップ

  • 記事の更新がはっきり分かるように工夫する
  • 読みたくなるように見出しを工夫する

とよいと分かります。

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