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低電圧メモリでPCをエコ化できるか?

2009年11月21日 20時00分更新

文● 石井 英男

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LGA1156プラットフォームでの検証

 そこで、今度は最新のLGA 1156プラットフォームで検証してみた。P55チップセット搭載マザーのなかには低電圧メモリをサポートする製品があるからだ。OSも前ページまではWindows Vista Ultimateだったが、今回は最新のPC構成ということでWindows 7 Ultimateに変更している。テスト方法は先と同じで、比較用に通常のDDR3 DIMMを用意し、OS起動後しばらく放置した状態(アイドル時)の消費電力と、TMPGEnc 4.0 XPressを利用してHD動画のエンコードを行なわせた際の最大消費電力(高負荷時)をワットチェッカーで計測した。もちろん、ここで計測しているのは、システム全体の消費電力であり、メモリモジュールのみの消費電力ではない。

テスト環境
CPU インテル「Core i7-860」(2.8GHz)
マザーボード ASUSTeK「P7P55D」
メモリー DDR3-1333 1GB×2または2GB×2
ビデオカード ATI Radeon HD 4670(メモリ512MB)
HDD Western Digital「WDF10EADS」(1TB Serial ATA)
OS Windows 7 Ultimate(32bit)
グラフィックドライバ ATI Catalyst 9.10

 検証で利用したマザーボード「P7P55D」のBIOS更新履歴を確認したところ、2009/9/8付けのバージョン「0606」の更新内容に「Support Low Voltage DRAM Module」という記述がある。検証は、BIOSを執筆時点での最新バージョン「0711」に更新して行なったので、この更新内容も反映されているはずだ。

今回の検証に利用したASUSTeK製マザーボード「P7P55D」

消費電力は2~5W減少

 今回利用したマザーボードでは、BIOS更新内容として「Support Low Voltage DRAM Module」という項目があったが、実際にGeILの低電圧メモリモジュール「Green Series」を装着して調べたところ、自動的にメモリ電圧が1.3Vに変更されるわけではなく、メモリ電圧は変わらなかった。そこで、低電圧メモリ装着時は、手動でメモリ電圧1.3Vに設定し、通常のDDR3 DIMM装着時は、メモリ電圧をAutoに設定した。

低電圧メモリ対応マザーでも、BIOSではメモリ電圧が自動で変更されなかったので、手動で1.3Vに設定した

 結果は下の表に示したとおりだ。1GB×2でも、2GB×2でも傾向はほぼ同じで、アイドル時は2~3W、高負荷時は5Wほど通常のDDR3 DIMMに比べて、消費電力が減少している。前編で検証したLGA1366プラットフォームと比較すると、1GB×2の場合、アイドル時の消費電力の差はほぼ同じだが、高負荷時の差はこちらのほうが約2倍になっている。
 また、LGA1366プラットフォームでは、2GB×2の場合、アイドル時、高負荷時ともに消費電力が1Wしか違わなかったが、LGA1156プラットフォームでは、2GB×2でも1GB×2の場合とほぼ同じ差が出ている。今回テストしたLGA1156プラットフォームのほうが、前編でテストしたLGA1366プラットフォームよりも、低電圧メモリモジュールの効果が大きいといえるだろう。
 2~5Wという差はそれほど大きいものではないが、前編でも解説したとおり、メモリモジュールの消費電力はシステム全体の消費電力のせいぜい1~2割程度なので、この結果は妥当である。

1GB×2 消費電力(単位:W) ←better
2GB×2 消費電力(単位:W) ←better

低電圧メモリモジュールはオーバークロックにも向く

 低電圧メモリモジュールは、本来は消費電力や発熱を減らすためのものだが、実はメモリオーバークロックにも向いた製品である。低電圧メモリモジュールに使われているメモリチップは、本来1.5Vで動作するチップから、1.3Vでも安定動作する優秀なチップを選別したものだ。メモリやCPUなどのCMOS半導体は、動作電圧を上げるほど高速に動作するという特性がある。より低い電圧でも安定動作するということは、電圧を上げてオーバークロックの限界を狙う、いわゆる喝入れのマージンが大きいということになる。通常、定格電圧の10%~15%アップくらいまでなら、チップが壊れる可能性はほとんどない。
 通常の1.5V動作のメモリモジュールなら、1.7Vくらいまでなら大丈夫だ。その場合、0.2V電圧を上げたことになるが、低電圧メモリモジュールに使われているチップも、本来は1.5Vで動作するチップであるため、同じ1.7V程度まで電圧を上げても問題はない。その場合、0.4V電圧を上げたことになり、より高いクロックでの動作が見込めるわけだ。
 もちろん、オーバークロック動作は、メーカー保証外の行為となるが、パフォーマンスの限界に挑戦したいのなら、挑戦してみる価値はあるだろう。GeILの低電圧メモリモジュールは、エコ志向の人はもちろん、性能にこだわるオーバークロックマニアにもお勧めできる。

低電圧メモリは消費電力や発熱を減らせるためエコなのはもちろんだが、電圧の喝入れのマージンが大きいことから、メモリオーバークロックにも向いている

(次ページへ続く)

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