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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第86回

ケータイ+位置情報をユーザーはどう使いこなすか?

2009年08月25日 18時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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タイムライン+位置情報+コンタクトで
新しいコミュニケーションが生まれる

 BrightKiteを自分の行動記録として活用するほかに、位置情報を活用したコミュニケーション手段としても利用できる。ポケットからiPhoneを取り出して位置情報を取得すると、自分の今いる場所の周りで行なわれた、他のユーザーによるチェックイン、テキストや写真の投稿を時系列で見られる。

 これはまさに今いる場所を誰が通ったか、他のユーザーが何をつぶやき、あるいは何を見つけて写真を撮ったかが分かる仕組みだ。BrightKiteにもTwitterのようなフレンド登録の関係性を持つことは出来る。しかしフレンド登録をしなくても、BrightKite空間を流離うだけでも十分楽しめるのがBrightKiteのTwitterとは違う特徴だ。

People Near Me

BrightKiteのPeople Near Me画面。範囲は20メートル、200メートル、2キロなどと変更できる。自分がチェックインした周辺にそのとき誰がいたのかをアイコン表示で確認する機能だ

 なにしろ自分が動けば、他の人が残した情報に当たるのである。

 たとえば新宿のタイムズスクエアのレコード店にチェックインすると200メートルの範囲の情報を見ることができる。他の人たちが食事をとったり、東急ハンズで物色している様子などが多く、もしレコード店以外のテナントについて何も知らなかったとしても、他の目的を持ってやってきたユーザーによって、色々なお店を知ることができる。

 場所に情報の足跡を残していく活動、言い換えれば場所を訪れる人による場所の修飾が重ねられていくと何が起きるだろう? 自分が行く場所すべてについて、他の人が気づいたことや発見したことなどの体験が活用できるのだ。

 BrightKiteは場所の概念の上に時間の概念を重ねるモノだが、Twitterと連携させれば、時間の概念が優越するTwitterのタイムラインにも場所の情報付きでチェックイン、つぶやき、写真が投稿される。場所と時間のメタデータを持つマイクロコンテンツたるつぶやきがTwitter上を流れるのである。

 たとえばこれから自分が行こうとしている場所に先に到着している人がいた時、混雑具合だとかゲリラ豪雨の有無なんかをコメントや写真で知ることができる。今から行こうと思っていた行列のできるお店で「今10人目なう」と書いてあったら、これから並びに行くのを躊躇するかもしれない。あるいは並んでいる人に、状況を尋ねてみてもいい。

BrightKiteのMy Visited Place。どこにチェックインしたか、またテキストや写真の投稿をした場所がプロットされている。東京を中心に行動していること、銚子、埼玉、諏訪、名古屋、大阪は出張や旅行で訪れた、ということまで一目瞭然だ。6週間で日常と非日常の判別が分かるデータがたまるという

 ここに、ソーシャルネットワーク、つまり人間関係が加わるとどうなるだろうか。今まで偶然出会っていたように思っていた知り合いとの出会いが、実は普段の行動周期や趣味嗜好の関係で会っていたのだと言うことに気づく材料になるわけだ。

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