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DNSのキホン 第1回

インターネットを支える技術を知ろう

DNS誕生までの経緯をおさえよう

2009年09月01日 06時00分更新

文● 網野衛二

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DNSの特徴

 DNSはIPアドレスに対応する名前として「ドメイン名」を使用する。このドメイン名を宛先として指定し、IPアドレスに変換する。

 求められる働きはhostsファイルを使った場合と同じだが、DNSでは次の点で進化している。

  • ドメイン名を階層的な構造に
  • ドメイン名とIPアドレスの対応を複数のサーバで分散管理
  • クライアント/サーバ方式の「問い合わせと応答」形式に

 以下でこれらを順番に見ていこう。

DNSの「階層構造」

 インターネットのホストは、プロバイダ(ISP)や企業を単位とした「まとまり」に所属している。DNSではこのまとまりのことを「ドメイン」と呼ぶ

 ドメインに対して、重複しないように付けられた名前がドメイン名だ。たとえば、アスキーという組織(まとまり)のドメイン名は「ascii」である。

 ドメインは、ルートを基点としたツリー構造になっている(図2)。たとえば、asciiは上位のco(company)ドメインに所属しており、さらにその上位のjp(Japan)ドメインに所属している。そして、jpはツリー構造の最上位であるルートドメインに所属しているといった具合だ。ルートを記述する場合は、「.(ドット)」と表記する。

図2●階層構造とFQDN

 ホストを指し示すドメイン名は、階層構造を使って記述される。具体的には、右から順番に上位ドメインのドメイン名、下位ドメインのドメイン名……ホストのドメイン名のように記述する。たとえば、ルートに所属する「jp」ドメインに所属した「co」ドメインに所属した「ascii」ドメイン所属のホスト「www」ならば、「www.ascii.co.jp.」となる。このような記述方式を「FQDN(Fully Qualified Domain Name)」と呼ぶ。ただし、ルートを示す最後のドットは省略する場合が多い。

 このFQDNを見れば、そのホストがどのドメインに所属しているのかわかる。よって、FQDNから「ドメイン名のホストが所属するドメインのネームサーバを探す」ことが可能になる。たとえば、「mail.nmag.jp.」ならば、「ルート」所属の「jp」ドメイン所属の「nmag」ドメインのホスト「mail」のため、nmagドメインのネームサーバに、ホストmailのIPアドレスを問い合わせればよい、ということになる。

データベースを「分散管理」

 各ドメインに所属するホストには、ホスト名とともにIPアドレスが割り当てられている。このホスト名とIPアドレスの対応を記述したデータベースは、「ネームサーバ」と呼ばれるサーバが保持する。

 DNSでは、hostsファイルで採用していたようなホスト情報の一元管理ではなく、ネームサーバをドメインごとに設置することで、分散管理を実現している

必要に応じて「問い合わせる」

 ドメイン名(あるいはホスト名)で宛先を指定した場合、通信を始める側はそのドメイン名に対応するIPアドレスを入手する必要がある。そのため、宛先のホストが所属するドメインのネームサーバに対して、ドメイン名の「問い合わせ」を行なう。ネームサーバは問い合わせに対して、対応するIPアドレスを「応答」する。これにより、宛先のIPアドレスを入手することができる。

 hostsファイルを使った仕組みでは、各ローカルに情報を持っていた。しかし、更新や配布の手間とトラフィックを軽減するには、クライアント/サーバ型で問い合わせるやり方の方が効率的なのだ。

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