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ブロードバンドの進展
現在の家庭向けブロードバンドサービスとしては有線で100Mbps、モバイルで数Mbpsが主流である。一方、サービスプロバイダの次世代コアネットワークで採用されることが予想される100GbEが2010年にいよいよ標準化を終え、製品化も迫っている。加えて、アクセスエリアにおいては10GE-PONが登場してきている。こうした状況からすると、3年後には家庭向けでもギガビットEthernetが普及し、企業向けでも低価格な10GbE接続サービスが登場してくる可能性がある。
モバイルの高速化も進展しそうだ。最近UQコミュニケーションズがトライアルを開始したモバイルWiMAXに加え、携帯キャリア各社が2010~12年をめどとする3.9G(LTE:Long Term Evolution)の投入を発表している。LTEでは下り100Mbps以上、上りも50Mbps以上の速度を目指して開発が進められている。実験ベースではあるが、すでに下りは200Mbps強を達成しており、有線と無線の実用上のギャップはほとんどなくなっていくだろう。
こうしたモバイルブロードバンドの進展は、FTTHなどの有線系ブロードバンドとの本格的な競争状態を引き起こす。そして、手軽に導入するのならモバイルブロードバンド、ギガビット級の高速通信や安定性を求めるのなら有線系ブロードバンドといった棲み分けになるだろう。契約回線数では、モバイルブロードバンドが有線系ブロードバンドを凌駕するに違いない。
また、ブロードバンド化で忘れてはならないのがカバー範囲である。財団法人全国地域情報化推進協会が発表した「ブロードバンド全国整備に向けた都道府県ロードマップ」によると、2008年3月現在のブロードバンドの利用が不可能な地域は約2800地域、86万世帯となっている。
ただし、都市と同じように1つ1つ基地局を立てたり光ファイバを引くことは、費用対効果の観点から現実的ではない。そこで離島地域や山間部では、低コストに広域をカバーする手法が注目されてきている。具体的には、ブロードバンドサービスのラストワンマイルに携帯キャリアのインフラを利用する「合わせ技」や、衛星ブロードバンドといった技術が挙げられる。
以上のように3年後には有線・無線を含め、よりさまざまな場所でブロードバンドを使えるようになるだろう。
(次ページ、「すべてをIPに」に続く)
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