「ThinkPad」と言えば、ノートパソコンのトップブランドのひとつである。だがこのところ「少々存在感が薄い」と感じていたのは、筆者だけだろうか。ネットブックに代表される「低価格」路線や、Let'snoteシリーズに代表される「軽量」路線が注目され、ThinkPadのもつ「高付加価値」「快適操作」といった部分で選ばれる商品が目立ちにくかった、という事情はあるだろう。
そんな中、レノボジャパンが6月に発表した「ThinkPad T400s」は、まさに高付加価値・快適操作を突き詰めた製品だ。一見地味だが、レノボが「史上最高」のかけ声で作り、送り出した自信作であるという。レノボの自信が本物であるか、早速チェックしてみることにしよう。
ボディは大柄だがびっくりするほど軽い!
まずは、T400sの位置付けを確認しておきたい。「ThinkPad T」シリーズは、元々「パワーを犠牲にしないが可搬性のあるノート」という位置付けの製品である。14.1型のディスプレーとフルサイズのキーボードに光学ドライブを備えた、完全に「デスクトップを置き換えうる」レベルの製品を目指している。ただしその一方で、少々重く分厚いのが欠点であった。前モデル「ThinkPad T400」の場合、厚さが27.6~31.9mmで、重量は約2.4kg。モバイルと言うには少々厳しい。
だが、T400sはそうではない。末尾の「s」はSmallのs。厚さは最薄部で21.1mm、最厚部でも25.9mmと、ワンクラス下である「ThinkPad X300」シリーズと比べても、2mmしか違わない。重量も、比較的容量の多い6セルバッテリーを搭載しつつ、1.79kgまで軽くなった。「最軽量のモバイル」とは言えないが、十分持ち歩けるレベルへとコンパクト化したといっていい。
それでいて、キーボードやディスプレーのサイズはそのまま。14型で1440×900ドットという広いディスプレーは、やはり非常に魅力的である。機能的にも性能的にも、「フル機能のPCを持ち運ぶ」というポリシーを貫いた製品、と言っていいだろう。
T400sは、「軽さ・薄さも妥協しなかった」というところが、最大のアピール点と言っていい。T400との違いはあまりないが、T500シリーズは上位機種の場合、GPUに「Mobility Radeon HD 3650」 (メモリー256MB)を別途搭載できる、という点が違いとなる。独立GPU内蔵にこだわるか否かが、T500とT400sを分けるポイント、と言っていい。
T400sを手に持つと、正直とても1.8kg弱とは思えないくらい、軽く感じられることに驚く。あくまで感覚的な問題ではあるが、他の1.7kg前後で13型ディスプレーのノートと比べても、手に持った時に軽く感じる。おそらく、全体の重量バランスが良くて持ちやすく感じることと、黒いボディーに14型という外見からくる「重そうなイメージ」から外れていることが、理由だろう。
この連載の記事
-
第116回
PC
「VAIO Duo 13」—革新は形だけじゃない! 変形ハイエンドモバイルに込めた思い -
第115回
PC
ソニーの本気—Haswell世代でVAIOはどう変わったか? -
第114回
PC
渾身の「dynabook KIRA V832」はどう生まれたのか? -
第113回
PC
HPの合体タブレット「ENVY x2」は、大容量プロモデルで真価を発揮! -
第112回
PC
ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る -
第111回
PC
15インチでモバイル! 「LaVie X」の薄さに秘められた魅力 -
第110回
PC
フルHD版「XPS 13」はお買い得ウルトラブック!? -
第109回
デジタル
ThinkPad Tablet 2は「Windows 8タブレット」の決定打か? -
第108回
デジタル
今後のPCは?成長市場はどこ? レノボ2013年の戦略を聞く -
第107回
PC
Windows 8とiPadがもたらす変化 2012年のモバイルPC総集編 -
第106回
PC
Clover Trailの実力は? Windows 8版ARROWS Tabをチェック - この連載の一覧へ