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Wordとも連携!Silverlight 3は本気バージョン (2/2)

2009年07月16日 21時16分更新

文●小橋川誠己/Web Professional編集部

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Wordへの出力機能まで備えた強力な新オーサリングツール

 もちろんマイクロソフトのこと。単に「FlashでできることをSilverlightでもできるようにしました」という話で終わるわけがない。Silverlight 3にはライバルに勝つための強力な武器がいくつも用意されている。マイクロソフトの製品は、バージョン3からが面白い。

 たとえば、SEO(検索エンジン最適化)対策を意識した新機能。「コンテンツが切り替わってもURLが変わらない」というRIA固有の問題を解決するため、Silverlight 3では設定したページごとにURLを変更できる「ディープリンキング」機能を盛り込んだ。Flashでも「Progression」などのフレームワークを使えば対応できるが、標準でサポートしている点に強みがある。検索エンジンがクローリングしやすいようにサイトマップを動的に生成する機能も付けた。

 Silverlight本体だけではない。アプリケーションを制作するためのデザイン/オーサリングツール「Expression」ファミリーも大幅にパワーアップした。中でもUIデザインツール「Expression Blend 3」に搭載された「スケッチフロー(SketchFlow)」は驚きの目玉機能だ。

 スケッチフローは、WebアプリケーションのUIのプロトタイプ(ワイヤーフレーム)を作成する機能だ。部品を配置していくだけで簡単に画面構成図を描けるだけでなく、画面遷移をマインドマップのようなフロー図で表現できる。たとえば、ログイン画面、成功画面、失敗画面などをそれぞれ作成し、各画面を線でつないでいくだけで画面遷移図が完成する。完成した画面遷移図にはテスト用に簡単な振る舞いを設定し、ブラウザー上で画面遷移のイメージを確認したり、コメントを入れたりできる。

Expression Blend 3のスケッチフロー。スケッチを描くようにラフを作り、フロー図と紐づけて管理できる


 画面遷移図をもとに仕様書を自動生成する「Wordエクスポート機能」も備えた。すべての画面構成図とフロー図を集めて、目次付きのWord文書にまとめてくれる。まさにマイクロソフトならではの、実用的な機能だ。

完成したプロトタイプはWebブラウザー上で確認してコメントを付けられる(左)。さらにWordに書き出して仕様書も作れる(右)


ExpressionファミリーのWebオーサリングツール「Expression Web」も強力になった。さまざまなレンダリングエンジンの描画を確認できる「SuperPreview」機能はクロスブラウザーテストに便利だ


 マイクロソフトによると、Silverlightはすでに「全世界のインターネット端末の3分の1」にインストールされているという。基調講演に登壇した米マイクロソフトのデベロッパープラットフォーム コーポレートバイスプレジデントのスコット・ガスリー氏は「100%にしたい」と意気込みを語っていた。Silverlight 3のリリースで、ライバルを追撃する準備が整ってきたようだ。

キオスク端末から“貧乏ゆすり測定機”まで登場した展示会場

 今年のReMIX Tokyoは発表内容だけでなく展示ブースにも力が入っていた。「Microsoft Surface」やキオスク端末など、来場者の興味を誘う展示が用意されていたのだ。マイクロソフトはかねてから「PROJECT UX」というサイトを立ち上げ、ユーザーエクスペリエンス(UX)の重要性を訴えている。そうした“UX重視”の姿勢をアピールするのに、個性的な展示ブースが一役買っていたようだ。

展示会場で常に人だかりができていたのが、「Microsoft Surface」のブース。実物に触れる機会はなかなかないだけに、多くの来場者が実際の操作を楽しんでいた

コンビニエンスストアや行政機関などでおなじみのキオスク端末をパワーアップしたPFUの次世代機(参考出品)。カメラで表情を認識しオススメの商品を紹介したり、内蔵のICカードリーダーで顧客ごとに異なるメッセージを表示したりする。今回の展示には間に合わなかったが、現在、UIにSilverlightを採用した新型機を開発中という

面白法人カヤックの展示ブースでは「貧乏ゆすり」を計測できるUSB機器「YUREX」とSilverlightとの連携をデモ。貧乏ゆすりの“揺れ”を数値化し、揺れに合わせてアニメーションが動く。もともとAdobe AIR用に作成したものをSilvelightに移植した参考出品。Flashに強いイメージがある同社だが、「マイクロソフトの担当者からいきなり電話があって」出展が実現したという

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