Ubuntuの「コミュニティ」って何ですか?
小林:後編の最初は……。ちょっとあいまいで答えにくいかもしれませんが、「コミュニティってどういうもの?」というのをテーマにしましょう。Ubuntuのありかたを知ってもらうためには避けて通れませんし。
やまね:どういうもの、か……。「趣味でDebianやUbuntuの開発に協力している人たち」が集まったのがコミュニティ、という表現ですかね。「開発に協力」と言っても、プログラミングだけじゃなくて、文書を書いたり、テーマをデザインしたり、Webサイトを管理したり、てのも含まれます。
ミズノ:われわれJapanese Teamもコミュニティの一種ですね。明確なグループとして構成されていなくても、Ubuntuにバグ報告したり、使い勝手をblogに書いたり、というのも「コミュニティ活動」の一種です。
瀬尾浩史:マンガ描くのはダメですか?
ミズノ:マンガ描いたり、壁紙の写真撮ったりもコミュニティ活動ですよ!
hito:……20ヵ国語に翻訳されたマンガの作者……者? 作ペンギン様が何か言ってますよ?
瀬尾浩史:ヲレ、ペンギンで確定っ!?
やまね:確定。
あわしろいくや:いくやみたいにパッケージ作るだけがコミュニティ活動じゃないのです。っていうか、瀬尾さんは日本人の中では、もっとも有名なUbuntu関係者のひとりなのでは……。
瀬尾浩史:わーい。やったー。
ミズノ:できる範囲で協力、というのが基本ですね。ボランティアですし。
hito:コミュニティ関連だと、Ubuntuは「Canonicalとコミュニティが協力して開発してる」ってところは、どう捉えてもらうのがいいですかね? 「Canonicalが技術的に厄介な場所を解決していくので、コミュニティで人海戦術的なところを処理している」というのは一つの見方かもしれませんが。
小林:「コミュニティの意見を取り込んでいく」という視点もありますね。Ubuntuの場合、多くの要望があった箇所はたいてい改善されていきますし、誰かが作ったものが本体の一部になることもあります。
やまね:Wubiもそうだっけ?
あわしろいくや:Wubiはコミュニティのとある人が作っていたら、本体に組み込まれて配布されるようになったものですね。
やまね:ああ、あと、Red HatやFedoraとの違いは説明しなくていい?
ミズノ:した方がいいですね。
hito:Fedoraもコミュニティベースで開発されていますが、中心になるのはあくまでRed Hatの社員さん達です。新しいアイデアが、どこからともなく出てきて本体に取り込まれる、というのは珍しいように思います。
ミズノ:FedoraはあくまでRed Hatのもので、Red Hatの開発版でしかない?
あわしろいくや:そこまで言い切るのも微妙ですが、Red Hatはわりと「……」な部分がありますな。
瀬尾浩史:「……」って何ですか?
hito:わかりやすいのはバグ報告かなぁ。Red Hatのバグ報告サイトだと、「このバグを修正しました。バグの詳細はこちら」と書いてあるんですが、その「こちら」のページを開こうにも「You don't have permission」(「貴様には権限はない」)とか言われることが結構あります。Red Hat社員じゃないと、バグの詳細な情報が手に入らない。
あわしろいくや:Ubuntuだとそんなことないですな。セキュリティ関連以外はバグ情報が公開されてますし。
やまね:セキュリティ関連も、一般公開されたら見えるようになる?
hito:なります。まぁ、非公開な部分がまったくないか、と言われると、「OEM版特有のバグのごく一部」とかは非公開なんで、100%ではないですね。限りなく全公開に近いんですけども。
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