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東京国際ブックフェアは電子書籍の見本市に?

2009年07月15日 20時00分更新

文● 千葉英寿

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出版のデジタル化は確実に進んでいる

 米国ではAmazon社が電子ブックリーダー 「Kindle」で一定の成功を収めた。今度はiPhone用に「Kindleアプリ」をリリースし、市場拡大をはかっている。また、NTTドコモと集英社など5社がヨーロッパでのマンガコンテンツの携帯電話配信サービスに乗り出すなど、出版のデジタル化は世界的な潮流となっている。

会場に視察にきていたフランスのAquafadas社のコミックビューア「AVE!Comic for iPhone」。とても見やすく、軽く、操作性が高い

 TIBF開幕前日の7月8日、電通が株式会社ヤッパと提携し、iPhoneアプリを使った電子雑誌を有料配信する「MAGASTORE(マガストア)」の今夏サービス開始を発表したこともあり、出版業界は電子出版の話題一色になっている。開幕時期を狙ってリリースした格好となったMAGASTOREだが、今回のTIBFには出展しておらず、ボイジャーやセルシスをはじめとする、電子書籍事業を軌道に載せてきた先行各社にとっては肩透かしを喰らった形となった。

電通と株式会社ヤッパが提携して開始する電子雑誌配信サービス「MAGASTORE」イメージ

 すでに「コミック」や「書籍」の電子出版は市場を形成しつつあるが、「雑誌」については既存の携帯電話のような小さな画面では閲覧しづらい。ボイジャーが講談社の「クーリエ・ジャポン」、主婦の友社がファッション誌の「ef」をiPhoneアプリで提供しはじめているが、「雑誌」の電子出版市場はいまだ存在していないと言っても過言ではない。

 すでにインターネット上のさまざまなメディアに、情報メディアとしてのお株を奪われてしまった「雑誌」だが、電通とヤッパがどのような施策でこれの復権をはかるのか? また、どのようなサービスを提供してくるのかは、ユーザーにとっても大いに興味のあるところだ。

 今回はトレンドとなっているiPhoneでの事例が特に目を引いたが、今後、GoogleのAndroid(アンドロイド)携帯向けの配信などが始まれば、また、市場は変化するだろうし、ここ数年、電子出版はますます目が離せない市場となるだろう。

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