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歌手ソロデビューの夢かなえた、ボーカロイドの「中の人」

2009年07月11日 13時00分更新

文● ASCII.jp編集部

「歌手人生、こんなところかな」と思っていた

ボーカロイドの声を収録する前に、ボコーダーで声素材を録音したこともあった。「録音は都内のスタジオで10時間缶詰め。ノイズが入って一から録りなおしになったこともある」という

 事務所をやめてフリーになり、ヤマハのボコーダー(人工音声を素材に使用したシンセサイザー)用の音声を収録したことがあった。やはりこれも「誰かのために声を提供する」という仕事に変わりはなかった。

 「KAITOのお話をいただいたときも、ボコーダーと同じようなものだろうと考えていたんですね。ソフトとして流通していたことは知っていても、ニコニコ動画を見たことはありませんでした」

 その後もフリーのボーカルとして様々な仕事をこなす中、自分を見つめて「歌手人生、こんなところかな」と思うこともあった。

 一緒に仕事をした同年代のボーカルがライブをしているのを見て「自分もこうなれたら」とあこがれを持つこともあったが、実現しなかった。そこに転機が訪れた。ニコニコ動画の人気曲「卑怯戦隊うろたんだー」のCD化だ。

ニコニコ動画に投稿された「『卑怯戦隊うろたんだー』をKAITO,MEIKO,初音ミクにry」(曲のタイトル)。279万再生というヒットを飛ばした

 「うろたんだー」は仮想の戦隊モノの世界観を下敷きにした、いわゆる「企画モノ」のCD。楽曲の合間にナレーションを散りばめるなど「らしさ」を演出し、どうすればファンが喜ぶかを優先的に考えて歌った。

 今月1日に発売された「千年の独奏歌」は企画モノではない。書き下ろし3曲も入り、完全に歌手として「ソロデビュー」という形になった。「身に余る光栄ですよね。今までの仕事は『今日はクラシック風で』『水が流れるように歌って』という受け身の仕事だったので、『自分らしく歌って』と言われ、プレッシャーも感じました」

 表題曲はKAITOを使用した人気楽曲を「カバー」したもの。つねに原曲のイメージを崩さずに歌うことを心がけた。せっかく自分がやるからには、満足のいくものを仕上げたい。歌詞を何度も読み返し、世界観をつかもうと努力した。特に力を入れたのがコーラス。何パターンも録音して、アレンジをかけた。

 「バックコーラスも仕事でしたことがありましたし、コーラスアレンジもやっていました。それをうまく作品に反映できたのではないかと思います。スケッチ程度に譜面を書いていき、録音時に皆さんの意見を聞きながら進めていけました」

カレーショップのテーマソング「虚空戦士マジスパイダー」を歌ったこともある。本人が出演するPVはYouTubeで視聴可能

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