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楽天1位のハンガー店、飽きない理由は「企画力」 (1/2)

2009年07月09日 14時00分更新

文●三浦たまみ

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なぜ、あのネットショップは今日も繁盛しているのか? なぜ、自分のショップでは商品が売れないのか?
他にはない強い商品開発力、他店を引き離す圧倒的な集客手法、一度捕まえたお客を逃がさない囲い込み術……と、成功したネットショップには現場で蓄積されたノウハウがある。本連載では、全国の優れたネットショップの事例からそのノウハウを公開。あなたのショップの“勝ちパターン”を見つけるヒントにしよう。

■今回の成功ネットショップ:
ハンガー専門店『ハンガーのながしお』


 昭和22年、木製ハンガーの製造卸を長塩産業株式会社を設立。ネットショップは、2001年楽天市場にて開業。ハンガーやその関連商品、メンテナンス商品等を扱う。2007年10月、月商4000万円を突破。現在、ネットショップ事業は、長塩さんを入れて3名が行なっている。


多目的展開のポイントは主力商品との関連付け

 より多くの顧客を取り込み、さらなる売上げアップを図るためにも、商品ラインアップの拡充は大きなテーマのひとつ。しかし、どんな商品を新たに仕入れていくか、その線引きを明確にしないまま安易にラインアップを増やすと、何を売りたいお店なのかよく分からない、焦点のぼやけたネットショップになってしまい、逆に客離れを招いてしまう危険があります。

 ハンガー専門店『ハンガーのながしお』は主力商品のハンガー以外にも、フローリングの上に敷くコルクマット、スチームアイロン、フタ付きバスケットなど、さまざまな商品を販売しています。これらの商品は一見ハンガーとは無関係に見えますが、実はしっかりとした基準を設けて選定されているのです。


ハンガーの特性を3つに分類して新商品を仕上げる

 以下は、『ハンガーのながしお』が、新たな商品を仕入れる際に基準にしていることを表した図です。

 昭和22年に創業しハンガーの製造卸業を長年営んできた長塩産業の主力商品は、言うまでもなくハンガーです。商材に対する知識がもっとも豊富で、取引先のコネクションが多数あるものを主力商品に据えてこそ、自店の強みが際立ちます。その意味でも同店がハンガーを主力商品に位置づけるのは当然ですし、ネット上でハンガーを専門に扱う競合他社が少ないことを考えても、ハンガーは主力商品にふさわしい商材でした。

 ただし、ハンガーだけに固執したままでは、ショップの成長は止まってしまいます。売上げを伸ばしていくには、客単価を上げること、新規顧客を増やしていくことが欠かせません。そのために、長塩さんは商品ジャンルの幅を広げていく方策をとりました。

 では、どのように幅を広げていったか? そのキーポイントが、「ハンガー」の周辺の「生活日用品」に絞ったことです。生活用品と一言で言っても、アイロンもフライパンもその範疇に入るなど、商品は多岐に渡ります。そこで長塩さんは、ハンガーを軸に、その他の商品をいかに関連づけるか考えていったのです。

ながしお

「ハンガーのながしお」の長塩康正さん

 「ハンガーの特性として、1.(洋服を)収納する商品であること2.(洋服を)メンテナンスする商品であること3.(滑りにくいハンガーに代表されるように)アイデア商品の性質を持つ――という3点が挙げられます。新たに仕入れたい生活用品が出てきたら、この3点のいずれかに該当するかをチェックし、問題なければ商品ラインアップに加えるようにしました」(店主・長塩康正さん)

  この方法であれば、壁かけCDボックスは「収納商品」、アイロンは「メンテナンス用品」、フライパンは「アイデア商品」など、店主の中で明確な線引きを設けて分類することができるので、どんなに商品を拡充してもブレが生じることはありません。

「メインの商品はあくまでもハンガーですから、店名回りにハンガーの写真を載せたり、ページの左側にある商品カテゴリの欄も、一番上にハンガーをもってくるようにするなど、ハンガーのお店であることは要所でアピールしています」

 もちろん商品拡充の際は、売れる商材かどうか“目利き”することが重要なのは言うまでもありませんが、その点、長塩さんの眼は確か。ハンガー以外でもっとも売れているコルクマットは、楽天市場の「キッチン・日用品雑貨・文具」部門において、2006年は年間売れ筋ランキング1位、2007年は2位(上半期は1位)になるという快挙を成し遂げています。

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