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コスト削減100本ノック 第7回

初期費用も運用費用も併せて軽減!

【7本目】KVMスイッチで保守や移動コストを削減

2009年07月08日 09時00分更新

文● 伊藤玄蕃

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KVMスイッチを使えば、1セットのKVMコンソールで複数のコンピュータを操作することができ、モニタやキーボードなどのハードウェアを削減できる。さらに最近の「デジタルKVMスイッチ」を導入すれば遠隔操作も可能になり、保守コスト・移動コストの削減やサービスレベルの向上など多数のメリットが得られる。

KVMスイッチの今昔

 KVMとは、「キーボード(Keyboard)、ビデオ(Video)、マウス(Mouse)」を指す略語で、この3つを総称して「KVMコンソール」と呼ぶ。KVMコンソールはコンピュータを操作するために必須のデバイスで、通常はコンピュータ1台につき1セット必要だ。しかし、KVMスイッチ(KVM切替機)を使えば、1セットのKVMコンソールで複数のコンピュータを操作することができる。

 初期の「KVMスイッチ」のマーケットは、デスクトップPCを複数台所有するコンピュータのヘビーユーザーだった。PCの本体は机の下や横に並べておけるが、台数分だけキーボード・モニタ(ビデオ)・マウスを机の上に置くことは、日本の狭小なオフィス空間では非常に難しい。そこでKVMスイッチを導入すれば、キーボード・モニタ・マウスを個別に設置する必要がなくなる。スペースの有効活用とともに、キーボード・モニタ・マウスの削減というハードウェアのコストダウンが即座に実現するのである(図1)。

KVMスイッチのメリット

 そのあと、ダウンサイジングやインターネット技術の進歩に伴い、企業に導入されるサーバの数が増加し、サーバ向けKVMスイッチの需要が急速に高まった。ひとくちにサーバといっても、その用途はファイル共有、電子メール、グループウェアなどと多種多様であり、KVMコンソールを操作する管理者も一人とは限らない場合が多い。また、KVMスイッチはサーバルーム内に設置されるが、KVMコンソールはサーバルーム外のオペレーションエリアに設置されるなど、コンソール管理に対する要件もよりセキュアになっている。このためサーバ用のKVMスイッチは、

  1. 1セットのKVMコンソールから操作可能なサーバ数の増加
  2. PC以外のサーバ(UNIXなど)への対応
  3. KVMスイッチからKVMコンソールまでの距離の延伸
  4. 複数のKVMコンソールへの対応
  5. KVMコンソールのアクセス制限(ユーザー・グループ登録)

などの面で、クライアントPC用のKVMスイッチとは違った進化を遂げている。

 最近では、ネットワーク経由で操作可能な「デジタルKVMスイッチ(KVM over IPスイッチ)」が登場し、遠隔地からのサーバ操作が可能になった。これを受けて、コンピュータとKVMコンソールとの距離が最大でも数m~数百m程度にしかならない従来型のKVMスイッチは「アナログKVMスイッチ」と呼ばれるようになった。

(次ページ、「KVMスイッチによる直接的なコスト削減」)


 

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