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鼎談──キャリア・端末・OSの視点で語る

国内初のAndroid端末「HT-03A」はこうして生まれた

2009年07月17日 10時00分更新

文● ASCII.jp、写真●小林 伸

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Android マーケットで機能を強化


世界中の開発者が公開したアプリケーションをダウンロードできるAndroid マーケット

Androidがモバイル業界から注目されているひとつの理由に、アプリケーションを自由に配布できる「Android マーケット」がある。日本だけでなく世界中の開発者がAndroid マーケットでアプリケーションを配布していくものと期待されている。

トム・モス 「6月9日に横浜で開発者向けイベントを開催しました。1500名ほどの開発者が参加してくれたのですが(グーグルは来場者全員にAndroid端末を配布した)、反響が大きく、いろいろなアプリを作ってくれそうな感触を得ています。日本では、iモードの功績もあって、モバイルアプリの開発者のレベルが高い。これまでのケータイでは実現できなかったものをAndroidで作ってほしい」

とはいえ、単にアプリケーションを配布するだけなら、すでに他社のスマートフォンでも実現されている。開発者たちがAndroid マーケットに参加したいと思う魅力はどこにあるのだろうか。

トム・モス 「Android マーケットには開発者にとってもいくつかのメリットがあります。まずは、Androidがマッシュアップしやすいプラットフォームであるという点。複数のアプリケーションを組み合わせて、新しいものを簡単に作れるメリットは計り知れない。もうひとつは簡単に世界中に配信できる点です。Android マーケットはその利用規約に従えば、あっという間に世界に向けてアプリを流通させることができるのです」



進化の早いインターネットの世界に対応


HT-03Aを使えば、フルインターネットを簡単・便利に楽しめるようになる。しかし、ドコモにとってAndroidは、初めて取り組んだプラットフォームである。すでに10年の歴史をもつiモード端末がありながら、新たなプラットフォームを手がけた本当の理由はどこにあったのか。

単にパソコン用サイトの閲覧ができるだけではなく、目的にすぐにアクセスできる仕組みも用意されている。写真は待受画面に貼られたGoogleの検索窓

板倉 「これまで我々の発想は、すべて『電話機』をベースにしてきました。Androidは(最新のトレンドに合わせてイチから設計されているため)その呪縛が解かれるという面がありますね。俊敏な動きをする端末がつくれるのではないかと期待していました。実際にAndroid端末に取り組むと、予想通りの心地よい操作性が実現できることが分かりました。

 電話機能をアプリケーションとして取り込みつつ、インターネットアクセスツールとして特化できたような気がしています。HT-03Aの画面は3.2インチとパソコンに比べて小さいですが、この画面サイズでも常に、フルインターネットのアクセスができるのは本当に快適です。もはや持ち歩かないというのはあり得ない。思い立ったら、すぐに検索できる。自分自身このサクサク感は病みつきになっているんです」

iモードのブラウザーは、ケータイの限られた画面サイズでも快適に利用できるよう専用に設計されている。サイトのレイアウトも、ユーザーインターフェイスも、モバイル環境に向けて最適化されている。あくまでも電話機として、集約された情報を手軽に入手するのに適したデバイスだ。

一方、HT-03Aはフルインターネットへのアクセスを得意とする。10年の蓄積によって研ぎ澄まされたiモード機か、インターネットとの親和性に優れたHT-03Aか。ドコモユーザーにとっては本当に悩ましい限りだ。



グーグルがAndroidに取り組む意味


とはいえグーグルの検索や地図サービスは、すでにiモード機はもちろんのこと、他のスマートフォンでも利用可能だ。それではなぜ、あえてグーグルが世界の企業を引っ張ってAndroidというプラットフォーム開発に乗り出したのだろうか。

インターネットをより多くの人に使ってもらう。それがグーグルの願いだという

トム・モス 「我々グーグルのミッションは世界中の情報を集めて整理することなんです。そのためにはインターネットに多くの情報が集まり、その情報を多くの人に活用してもらわなければなりません。
 とはいえ、すべてのユーザーがパソコンを持てるわけではない。世界において、ケータイはパソコンに比べて3倍のユーザーがいると言われています。ならば、パソコンを持たないユーザーにもアプローチして、情報を提供したいという願いがグーグルにはあったんです。
 また、ケータイ用に作られたインターネットコンテンツは、パソコン用に比べて進化の速度が遅いという弱点があります。パソコン用のインターネットサービスは、自由度が高く、一度サービスの革命が起きれば、あっという間に世界に広まるのとは対照的です。
 これまでケータイではそういったプラットフォームが存在しませんでした。グーグルはモバイルの世界でもパソコンのインターネットのように自由に開発できる環境が必要だと感じました。Androidはそのために作られたプラットフォームです。マッシュアップやAPIを活用して、世界中にサービスを一気に提供できるようにしたかった」

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