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117億の予算ありきか――混迷する「国営マンガ喫茶」議論

2009年07月03日 18時30分更新

文● ASCII.jp編集部

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2日に文化庁で開かれた、国立メディア芸術総合センター(仮称)設立準備委員会。14名の委員に4人のオブザーバーを加えた合計18名が委員会を組織する

 「(企画の進行が早いのは)普通なら予算がつかないから。普通は20年はかかる」

 記者の質問にそう答えたのは、東京大学でメディア環境学を教える濱野保樹教授。2日、文化庁で開かれた「国立メディア芸術総合センター(仮称)」設立準備委員会の会合で座長を務めた。委員会には漫画家の里中満智子氏や、明和電機の土佐信道氏ら14名が参加する。

 同施設は映画やマンガ、ゲームやビデオアートなど日本のメディアアートを収蔵・展示するもので、建設の候補地にはお台場が挙がっている。117億円もの巨額予算が2009年度補正予算として計上され、民主党は「福祉予算を削って国営マンガ喫茶を建設するようなもの」と非難した。「選挙対策のハコモノ予算ではないか」という声も上がっている。

文化庁提供資料による、施設の外観イメージ

 そもそもの問題は何を目的とした施設なのか、実態が不透明なまま予算だけが通過してしまったという状況にある。里中委員はその指摘を認めた上で「だからこそ皆で意見を出して素晴らしいものにできる」と主張し、同施設のホームページを立ち上げ、国民からの声を反映したいと話した。

土佐信道氏も委員として参加

 もちろん作品に与する側としてはアーカイブ施設としてセンターが実現することは喜ばしいことだ。国内では評価が低いメディアアートだが、海外では非常に高く評価される側面もある。

 土佐委員はその面から「ライブラリーであるとともに(作品を海外に売り込むための)ショーケースとしての2方向の役割が必要」と述べた。

 また、東京都現代美術館で学芸員を務める森山朋絵委員はオーストリアのメディアアートイベント「アルス・エレクトロニカ」や、東京都写真美術館での成功を例に挙げ、施設の必要性を主張。既存の施設との連携を強化できるような方向も発展させてほしいと語った。

 もちろんそういった文化的な貢献は大きいが、最大の課題はスケジュールと収益構造。今回、予算として計上されている117億円はあくまで施設の建設費用のみの金額で、そこから実際に何かを集めて展示し、運用していく資金は白紙のままだ。

 株式会社ポケモン代表取締役社長の石原恒和委員はその点について「独立した建造物を作るのは反対。森美術館など既存の施設と協力したものがいいのでは」と話す。

 ぴあ総合研究所代表取締役社長の林和男委員も同様に「(収蔵品の)アーカイブのための予算がなければ、ハコだけになってしまうのでは」と懸念を示し、「人材育成をするのであればそのための運営予算もバックグラウンドに必要になる」とした。

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