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電子メールの秘密 第1回

なぜ、送信ボタンを押すと相手に届くのか

メールが届く仕組みを知っていますか?

2009年06月30日 08時00分更新

文● 鈴本薫平

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メールアドレスの意味

 一般的なメールアドレスは、図2のように「@」で区切られた2つの部分に分けられる。@の左側は「ローカルパート」、右側は「ドメイン」と呼ばれる。ローカルパートはユーザーが自由に付けられるが、ドメインは企業やISP(プロバイダ)などの組織ごとに決まっているので、ユーザーが自分の意思で変更することはできない。

図2 メールアドレスの構成

 メールアドレスはIPアドレスやMACアドレスなどと同じ識別子なので、重複してはならない。ただし、これはあくまで同一ドメイン内に限って適用されるルールだ。ドメインが異なれば、ローカルパートに関しては同じものが存在してもかまわない。たとえば「hogehoge」というユーザー名が気に入っていれば、「hogehoge@example.com」や「hogehoge@example.net」などを取得しても問題ない。

メールアドレスのルール

 ユーザーが自由に設定できるローカルパートだが、まったくルールがないわけではない。まず、文字数が64文字以内という制限がある。加えて、ドメインとの合計が256文字以内に収まらなければならない。

 また、使える文字も決まっている。アルファベットや数字、ピリオド(.)やハイフン(-)、アンダーバー(-)あたりは何の疑いもなく使っているだろうが、実はほかにも使える文字がある(表1)。たとえば「*」や「?」などは、MS-DOSでコマンドを叩いていた経験がある人*1なら信じられないだろうが、RFC 2822(Internet Message Format)を読む限り許可されていることがわかる。そのため「i-love-dog.!{*^-^*}!.wanwan@nmag.jp」といった、顔文字を含むようなメールアドレスも不可能ではないのだ*2。

*1:?や*は「ワイルドキャラクタ」や「ワイルドカード」と呼ばれ、指定した部分の文字を特定しないときに使われている。たとえば「dir aaa.*」と入力すれば、拡張子を問わずaaaというファイル名のファイルを表示するという具合だ。 *2:ただし、多くのISPやフリーメールでは、英数字以外に許可しているのは、ハイフンとアンダーバー、ピリオドぐらいまでである。

表1 ローカルパートで利用可能な文字(RFC 2822より)。本来、英字の大文字と小文字は区別するべきものだが、RFC 2821(Simple Mail Transfer Protocol)の36ページには「大文字と小文字を区別するメールボックスを定義するのは避けるべき」と書かれている

 ただし、利用が許可されているからといって、すべての文字が自由に使えるというわけでもない。たとえば、ピリオドをローカルパートの先頭や末尾に使ったメールアドレス(たとえばhoge.hoge.@example.com)は、RFCに準拠していない。また、ピリオドが2個以上連続するローカルパート(たとえばhoge..hoge@example.com)も同様だ。「一部のプロバイダとメールを送受信できない場合があります」という書き方をして、ピリオドの連続したメールアドレスを許可している携帯電話事業者もあるが、いくら迷惑メール対策でも避けたほうが賢明だろう(表2)。

表2 携帯電話事業者のメールアドレスに関する注意書き

(次ページ、「特別なメールアドレス」に続く)


 

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