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全部知りたい! iPhone 3GS & iPhone OS 3.0 第7回

あまり語られていない「隠し球」を一挙公開!

これが実機だ! iPhone 3GS、国内最速レビュー【その3】

2009年06月25日 20時00分更新

文● 林信行

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新しいアプリ創出の基礎が整った

 iPhoneといえば、携帯電話の中でもかなりパソコンに近い特性を持つので、アウトラインプロセッサーやマインドマップといったパソコン用アプリケーションも非常に多い。

フリック入力

iPhoneのテンキーでフリック入力をしているところ

 一方で、これまでのiPhone 3Gでは、日本語入力が多少やりにくいところがあったのも確かだ。

 指でキーを上下左右にはじいて文字を入力する「フリック入力」(関連記事)に慣れれば、一般の携帯電話よりもかなり早く文字入力ができる自信はあるが、ネックとなっていたのは反応速度だ。iPhoneの日本語文字入力キーボードはたまにもたつくことがあり、長文を打つ気になれなかった。

 しかし、iPhone 3GSでは、iPhone 3Gと比べて「2倍速い」性能を得たことで「もたつき」問題を解消している。


iPhone 3GSでの日本語入力



 書くだけではない。電子ブックを読んだり、音楽を聴いたり、ミュージックビデオを見たり……。音声や映像のPodcast番組を楽しむことや、大学が配信している講義で空き時間に学んだりすることも、iPhone 3GSのほうが快適だろう。

 32GBという大容量フラッシュメモリーもさることながら、7.2Mbpsの高速ダウンロードに対応しているのは大きい。無線LAN環境がないところでも、Podcastの映像コンテンツもダウンロードできる。

Kindle for iPhone

「Kindle for iPhone」

 iPhoneといえば、元々はiPod機能内蔵の携帯電話ということで、世界でもっとも先進的な音楽携帯という側面があるが、実はその一方で、iPod touchとあわせて4000万台のインストールベースを持つ史上もっとも成功した電子ブックのプラットフォームでもある。

 定評のある視野角が広く視認性の高い液晶と、直感的なタッチ操作を生かした電子ブックは、既に国内からも多くのコンテンツプロバイダーが出しているが、今後はiPhone OS 3.0のIn App Purchase、つまりコンテンツを追加購入する機能を通してますます増えていく見込みだ。あのAmazonも米国では「Kindle」という電子ブックリーダー端末を売る一方で、iPhoneユーザーにはKindleアプリも提供している。


速度アップで「新たな地平線」へ

 iPhoneのApp Storeは、ヒットするアプリを作れば1日で数百万円規模の収益を上げられるという実績を作ったことから、一部では「21世紀のゴールドラッシュ」と呼ばれている。

 現在、世界中の優秀な開発者がApp Store進出に乗り出している。有力ゲームメーカーもしかり、パソコン用ソフトの開発者もしかり、携帯電話用コンテンツの開発者もしかりだ。

 それによってiPhoneアプリは、App Storeのオープンから1年も経たない間に5万本近くまで増えた。他社製アプリが出始めてからすでに9年近く経つWindows Mobileでは、未だに約その半分。iPhoneの最大のライバルと言われるAndroid用のアプリケーションもまだ10分の1ほどの規模だ。世界中の面白いアプリがiPhoneに集まっていることが分かるだろう。

 iPhone 3GSは、この状況がさらに面白くなりそうだ。これまでさまざまな交流を通して、多くの開発者から「iPhoneが携帯電話としてはあまりに高い性能を持っている」「これならもっとスゴいことができそうだ」といった言葉を聞いてきた。ここに「2倍速い」iPhone 3GSが出てきたら、どんなアプリが生まれるのかちょっと楽しみだ。

 パソコンに詳しい人なら、新製品が「スピード強化」を前面にうたった場合、前の機種とあまり変化がないことだと見なしてしまうかもしれない。しかし「iPhone 3GS」は、スピードこそが、あらゆる新しい可能性の源であることを強く実感させてくれた新製品とも言える。

 そういう意味では、これからiPhoneを手にする人にも、これまでiPhoneの善し悪しを知ってきた人にも、ぜひ手に取ってみて欲しいと思う。

 iPhoneを新たな地平へと導くiPhone 3GSの発売は、いよいよ明日・26日に迫っている。日本では原宿に昨年も渋谷までつづく大行列をつくった「ソフトバンク表参道」や直営店のApple Storeなどで朝7時から販売が始まる予定だ。表参道店やApple Store Ginzaなどでは予約していない人でも買えそうなだけ在庫を確保しているようなので、ぜひともいち早く手に取ってみて欲しい。


筆者紹介──林信行


 フリーランスITジャーナリスト。 「iPhoneショック」(日経BP刊)の筆者。本日・25日22時からソフトバンク表参道店の隣、原宿クエストホールにて開かれる「iPhone 3GS 発売記念前夜祭」のオーガナイザーを務める。製品コンサルタントとして活動するほか、ジャーナリストとしては、デジタル技術によって変わる人々のライフスタイルやワークスタイルに大きな関心を持つ。ハード、ソフト、ウェブの技術だけでなく、アートやデザイン、コンシューマーやIT系企業の文化についても取材/執筆活動をしている。自身のブログは「nobilog2」。



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