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都庁前iPhoneクラブ 第9回

都庁前iPhoneクラブ・新OS 3.0は堕落だっ!の巻

2009年06月21日 16時00分更新

文● 都庁前iPhoneクラブ製作委員会

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検索機能で3.0は「堕落」した!

ゴールド:それを言うなら、デバイス論よりOSでしょう。端末はすべて通信可能な世界に行くわけだから。でも始めに言っておきますけど、iPhone OS 3.0は「堕落」だと思いますよ。

カリー:だ、堕落!? と言われますと……。

ゴールド:3.0で検索機能(Spotlight検索)を入れてきたでしょ。あれってiPhoneの魅力とは何なのかという話から考えるとまったくダメですね。

カリー:はぁ。


Spotlight検索




「アスキーといえばこの人」という、IT業界を長年語ってきたゴールドさん

ゴールド:僕はiPhone OSの魅力って「マウス以来の進化」「ユーザーインターフェイスの革命」だと思ってきた。某所で、iPhoneがMacworld Expoで発表になって、すぐにそのことも書いた。ところが、最近になって重大な見落としをしていたことに気が付いたんですよ。

 iPhoneを触っていると、どうしても操作性の気持ちよさに騙されて、ユーザーインターフェイスのことが気になるんだけど、重要なのはもっとメンタルなことだったんだね。実は「ファイルがないこと」が最大のポイント。

 ファイルがなければ、今までファイルを管理していたようなOSと付き合う必要もない。かつてこれに似た環境ってのは、誰かも指摘していたけど、リコーの「マイツール」が非常によく似ていた。ほかにも「統合アプリケーション」という言葉が流行ったときに、これに似た発想のものはあったけれど、結局、ファイルを捨てきれなかった。しかし、マイツールに関して正確にはあるバージョンということではないかと思うんですが、とても似ているんですよ。

カリー:マイツールとは何でしょうか?

ゴールド:マイツールでは、要するに、フロッピー1枚が帳簿一冊のメタファーどころかそのものなんですよ。フロッピーをパソコンにさすと、帳簿を開いたような画面が出てきて、例えば、1ページ目は1月の売り上げ、2ページ目は2月の売り上げと作っていける。要するに、ページの面積の制限のないノートなんです。しかも、他のページと画面を2分割して比較したりもできてしまう。

 これだと、「マルチプラン」や「一太郎」や「ロータス1-2-3」には手も出ない人でも、とりあえず「普段付けている帳簿をそのままやればいいか?」みたいな感じになるでしょう。

シルバー:確かにそうですね。

ゴールド:iPhoneの魅力ってのもまさにそこで、「メール」がまさに顕著な例だよね。メーラーのくせに検索はできないは、送信者での並び替えにも対応していないはで、日本のケータイからしてみるとすごく非常識。届いたメッセージの山を表示するだけなので、ユーザーは片っ端から見ていくしかない。しかし、それがすばらしい!

カリー:えええ、使いにくくないんですか?

ゴールド:だって、あれなら誰でも迷わないじゃん。「検索しよう」とか、「名前で並べ変えると早く見つかるんじゃないか」とか考える余地がない。とにかく上から見ていくしかない。そこがスゴい。

 そうすることで「モバイル」という概念を定義しているんだよね。アップルは、「モバイルではチマチマしたことやると柱や人にぶつかって危ないよね」というようなことを言っているわけです。だから、安易に検索機能を付けてきたのは「堕落」なんですよ。

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