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市場創出で月商4000万円!足立区のハンガー屋さん (1/2)

2009年06月18日 15時10分更新

文●三浦たまみ

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なぜ、あのネットショップは今日も繁盛しているのか? なぜ、自分のショップでは商品が売れないのか?
他にはない強い商品開発力、他店を引き離す圧倒的な集客手法、一度捕まえたお客を逃がさない囲い込み術……と、成功したネットショップには現場で蓄積されたノウハウがある。本連載では、全国の優れたネットショップの事例からそのノウハウを公開。あなたのショップの“勝ちパターン”を見つけるヒントにしよう。

■今回の成功ネットショップ:
ハンガー専門店『ハンガーのながしお』


 昭和22年、木製ハンガーの製造卸を長塩産業株式会社を設立。ネットショップは、2001年楽天市場にて開業。ハンガーやその関連商品、メンテナンス商品等を扱う。2007年10月、月商4000万円を突破。現在、ネットショップ事業は、長塩さんを入れて3名が行なっている。


ハンガーを購入する必要性をメルマガ、サイト上から強くアピール!

 日用品をはじめ近所のお店で買えるような商材はネットショップには不向き。競合店が少なくニッチな商材であるほどネット販売には適しており、先行者利益も得やすいといわれます。ところが、『ハンガーのながしお』で扱う商材は「どこでも買える」どころか、クリーニング店に衣類を出せば「タダでもらえる」イメージのあるハンガーです。ハンガーの製造販売業が売り上げの伸び悩みで撤退するケースが多いなか、同店は最も多い月で月商4000万円を叩き出すまでに成長します。その理由は、「ハンガーは、買うべきもの」という概念を積極的にアピールし、新しい市場をつくっていったことにあります。


ハンガー=買うモノという意識に転換させる

ながしお

「ハンガーのながしお」の店主、長塩康正さん

 ハンガーと一口に言っても、前述のクリーニング店でもらえる針金ハンガーの他、木製、アルミ、ポリプロピレンなどいくつもの素材がありますし、ズボン専用、ネクタイ専用、着物専用など種類もさまざま。メンズ、レディースなどサイズも異なります。また、Tシャツの襟元が伸びないよう設計されたハンガーなど、アイデア商品もたくさんあります。

 「そもそもハンガーの役割は、衣類の型くずれやしわを防ぎ、きれいな状態のまま保管すること。クリーニング店でもらう針金ハンガーは、あくまでも衣類を運搬するためのもの。長期保管には向いていないんです」と店主の長塩康正さん。

 スーツなら重さに耐えられる木製の頑丈なハンガー、シルクブラウスなら滑りにくい設計のハンガーを選ぶなど、衣類ごとに適したハンガーを選ぶべきというわけですが、長塩さんはまずこうしたハンガーにまつわる情報を、サイトやメルマガで発信しました。お客さんの意識を「ハンガー=もらうもの」から「ハンガー=買うもの」に切り替えるよう働きかけたのです。

 同社はもともと昭和22年、長塩産業株式会社として木製ハンガーの製造卸を開始し、業務用ハンガーをブティックやホテルなどに卸したり、一般消費者向けに作られたハンガーをイトーヨーカ堂、東急ハンズなどの流通業者に卸すなど、主にBtoB取引を行なってきました。

 さらなる販路拡大を目指してネットショップを開業したのは2001年。当初は長塩さんが会社の業務を終えた後に1人で作業を行なっていましたが、事業が拡大した2004年以降は、ネットショップ事業部を別に立ち上げ、長塩さん含め3名で運営しています。

 ネットショップは、BtoCにフォーカスしています。ハンガーについて知識のない個人客を相手にしているからこそ、「ハンガー=買うもの」という働きかけは絶対に必要でした。たとえば、過去に同店が発行したメルマガの一部を見てください。

ながしお

「ハンガーのながしお」のメルマガの一部


 このようにハンガーに関する豆知識を積極的に掲載する、正しいハンガーの選び方のページに誘導するなどして「ハンガーは買うに値するものなんだ」と思わせる工夫をして、商品の付加価値を高めていったのです。

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