アップルと開発者が共に進める未来
基調講演において、Snow Leopardの発表までに至る、アップルのプレゼンも実に巧妙だった。
せっかくのこうした新機能もユーザーがSnow Leopardを買って、インストールしてくれなければ意味がない。64bitもGCDもOpenCLも、それを活かせるハードウェアをユーザーが持っていてくれなければ意味がない。
だからこそ今回のWWDCでは、まず最初にマルチコアのCore 2 Duoを搭載したMacBookシリーズを安価で提供すると発表して、普及を約束した。そして、Snow Leopardのパートでは、高速なインストールと、ディスク占有量の少なさを訴える。最後に29ドルという破壊的価格でSnow Leopardを提供することを宣言する。
さまざまな「障壁」をつぶして、ユーザーが移行しやすい環境を整えたのだ。
「ほかのOS」は64bitへの移行、新しいOSへの移行に苦労しているかも知れないが、アップルはハードウェア、ソフトウェアの両方でそれを促進するための策を取っている。
開発者はその次の世界を活かしたアプリケーションを続々と用意し、ユーザーはその魅力的なアプリケーションを使うためにSnow Leopardに移行するという流れができていくだろう。これは、iPhone OS 3.0 でも同じだ。
アップルはMacとiPhoneのどちらの環境でも、アップルと開発者がスパイラルを描いて天を突き破るような未来図を提示したのだ。
今のアップルはこうしたすばらしい未来を、飾り立てることなく描くことができる。だから、ジョブスを壇上に立たせるという「One More Thing」は必要なかったのだ。
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