高いグラフィック性能
しかしVistaは荷が重い?
プレインストールOSはWindows Vista Home Premium SP1である(量販店モデルは同Home Basic)。ワイド液晶ディスプレーのため、サイドバーを表示させてもXGA解像度並みの作業エリアが確保できて快適だ。
VistaのWindowsエクスペリエンスインデックスでは、プロセッサーが3.4で一番低く、グラフィックスが3.9、ゲーム用グラフィックスが4.1。価格のわりにグラフィック性能が特に優れていることがうかがえる。さすがにMobility Radeon HD3410というところか、Windows Aeroの透過表示を使っても、表示のもたつきなどはまったく感じなかった。
ただ、CPUのパフォーマンスではストレスを感じることもある。Athlon Neo MV40のクロック周波数(1.6GHz)や512KB 2次キャッシュの容量は、ネットブックに多いAtom N270やZ530と同等である。しかし、N270プロセッサーがハイパースレッディング・テクノロジーで疑似デュアルコアに見えるのに対し、MV40は純粋なシングルコアであるためだろうか?
あるいは、プレインストールされたセキュリティーソフト(ノートン・インターネットセキュリティ2009)が、バックグラウンドで重い処理でも行なっているのか、CPU負荷は常時30から40%を示し、ウィンドウを開いたり閉じたりするだけですぐに80~90%を示す。Vistaの透過表示をオフにするとCPU負荷も下がることから、Yukonプラットフォームの特性なのかもしれない。
また、空冷ファンは常時回転しているが、CPU負荷の上昇と連動して回転数も高まり、高周波の風切り音が耳につくようになるのも残念だ。せっかくHDオーディオチップ(IDT HD Audioチップ)を搭載し、ALTECブランドのステレオスピーカーを内蔵しているのに、音楽やビデオコンテンツ再生時にはファン回転音が明らかなノイズとなってしまう。排気口も左側の手前にあるためパームレストが使用中に熱を持ち、長時間の文字入力をためらわせる。スリムデザインのため厳しいのは理解できるが、快適さを損なわない放熱設計も重視してほしいものだ。
性能と快適さでは少々手厳しい評価となってしまったが、それというのも筆者は、同クラスのノートに大きく期待しているからである。しかしdv2の価格帯を思えば、20万円台の価格付けで売られているモバイルノートと比べてはいけないかもしれない。同クラスのモバイルノート1台分のコストで、dv2なら3~4台買えるのだ。
ちなみに筆者は、dv2の量販店向けモデルを出張取材用のモバイルノートとして購入するつもりだ。標準6セルのバッテリーで公称3時間の利用時間というのも、鉄道での移動にはちょうどいい。それでいて7万円台(あるいは6万円前後)で買えるのだ。Vistaの採用にDVDドライブの付属(量販店モデルにはないが)、標準2GBメモリーなどなど、dv2のコストパフォーマンスは恐ろしいほど高い。
液晶ディスプレーのサイズや解像度、オフィスソフトや動画コンテンツを収めても余裕のあるHDD容量(直販モデルは320GB、量販店モデルは160GB)、振動や衝撃からデータを守るHDD保護機能「HPプロテクトスマート・テクノロジー」、出先でDVD再生が可能な表示能力など、ネットブックでは足りないと感じていた部分をdv2がすべて満たしてくれるからだ。
美しいボディーを汚したり傷つけたりするのは辛いが、たまに持ち歩くのであれば、少しでもカッコいいマシンがよいではないか。
HP Pavilion Notebook dv2の主な仕様 | ||
---|---|---|
直販モデル | 量販店モデル | |
CPU | Athlon Neo MV-40(1.6GHz) | |
メモリー | 2GB(最大4GB) | |
グラフィックス | Mobility Radeon HD 3410 | AMD M690Gチップセット内蔵 |
ディスプレー | 12.1型 1280×800ドット | |
HDD | 320GB | 160GB |
ネットワーク | 100BASE-TX、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.0 | 100BASE-TX、IEEE 802.11b/g |
カードスロット | 5in1メディアスロット(SD/SDHCメモリーカード、メモリースティック/Pro、xD-ピクチャーカード、MMC対応) | |
サイズ | 幅293×奥行き240×高さ9~30mm | |
質量 | 約1.79kg | |
バッテリー駆動時間 | 約3時間 | |
OS | Windows Vista Home Premium SP1 | Windows Vista Home Basic SP1 |
価格 | 7万3500円 | 6万円前後(予想実売価格) |
この連載の記事
-
第133回
PC
Skyrimも快適? GeForce内蔵Ultrabook ASUSTeK UX32VD -
第132回
PC
写真やゲームをより美しく見せるナナオの液晶 FS2333 -
第131回
PC
デジカメとスマホを手軽に連携する無線LAN SDカード FlashAir -
第130回
PC
無線とタッチで使い勝手が進化したペンタブレット Intuos5 -
第130回
PC
スレートPCをCore i7で蘇らせたオンキヨー TW3A-A31 -
第129回
PC
店頭モデルも4コアCPUに パワーアップしたLets'note B10 -
第129回
PC
小型でも強力GPU搭載のゲームPC Alienware X51を検証 -
第129回
PC
Ultrabookと一緒に持ち歩きたい 超小型マウス「Cube」 -
第129回
PC
14型のUltrabookはアリか? デザイン重視のENVY 14 SPECTRE -
第128回
PC
WiMAXモバイルルーターの決定版!? Aterm WM3600Rを試す -
第127回
デジタル
高速SSDで起動・復帰が速いUltrabook Aspire S3-951 - この連載の一覧へ