このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

Windows Server 2008 R2機能説明会レポート

軽くて、エコで、仮想化もOKなServer 2008 R2の魅力

2009年06月11日 09時00分更新

文● 金子拓郎/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

異なるCPU間のマイグレーションも可能に

 ライブマイグレーションを行なう際に注意が必要なのが、物理サーバのCPUだ。仮想化技術ではストレージやNIC、グラフィックスなどは仮想化され、物理サーバのハードウェア構成にかかわりなく同じ構成となる。ところがCPUだけは、物理サーバのCPUがそのまま利用される。つまり、Xeon 5500番台搭載の物理サーバ上では、仮想マシンのCPUもXeon 5500番台となり、Xeon 7400番台の物理サーバ上では仮想マシンもXeon 7400番台になるといった具合だ。

 そのため、マイグレーションを行なっても、移行先の物理サーバのCPUがこれまでと異なると、移行に失敗することがあった。とはいえ、サーバ仮想化に利用するサーバのCPUをすべて同じもので揃えるのも難しい。CPUは世代交代が速いため、現在動いているシステムに後からサーバを買い足すといった場合、異なる世代のCPUを搭載するサーバしか手に入らないことがあるためだ。

 この問題を解決すべくHyper-V 2.0では、仮想マシンの設定に「プロセッサバージョンが異なる物理コンピュータへ移行する」というオプションが用意された。ここにチェックを入れると、異なる世代のプロセッサのサーバ間でライブマイグレーションが可能になる。ただし、インテルのCPUとAMDのCPU間での移行はサポートされない。そのため、ライブマイグレーションの環境を構築するのであれば、同一メーカーのCPUを搭載するサーバを選ぶ必要がある。

VHDのパフォーマンス向上

 VHDは、Hyper-VやVirtual PCなどマイクロソフトの仮想化製品が利用する仮想ディスクフォーマットだ。このVHDのサポートがWindows Server 2008 R2では強化される。

 そもそもVHDには、あらかじめ最大容量分のサイズを持つVHDファイルを作成する固定長VHDと、当初のサイズは小さく内容量が増えるに従ってVHDファイルのサイズが大きくなる可変長VHDとがある。50GBの容量を持つ仮想ディスクを作り10GBファイルをコピーした場合、固定長のVHDファイルサイズは50GBだが、可変長では10GB程度で済むわけだ。

 物理マシンのストレージの節約という点では、ファイルサイズが小さくなる可変長VHDが優れている。また、VHDファイルのコピーや移動などを行なう場合も、サイズは小さいことが望ましい。ただし、VHDへの書き込みパフォーマンスは、固定長VHDが大幅に優れており、どちらを選ぶかはHyper-V導入時の難問の1つだ。

 この問題を軽減するのが、Windows Server 2008 R2におけるVHDパフォーマンスの向上だ。まず、Hyper-VでのVHDへの書き込み速度が向上した。可変長VHDへの書き込み速度は、ネイティブ(物理ディスク)への書き込みの94%となる。これは、Hyper-V 1.0の固定長VHDへの書き込み速度と同等だという。そして固定長VHDでは、これまでネイティブの96%までだった書き込みパフォーマンスが、ネイティブと同程度まで向上する。

VHDのベンチマーク。左がWindows Server 2008で、右が同 R2。書き込み(write)の値が右では上がっているのがわかるだろう

 加えて、差分ディスクのパフォーマンスも大幅に向上する。差分ディスクは、オリジナルのデータをそのままに、書き換えや修正などの変更データを差分として別のディスクに保存する方法だ。Hyper-Vでもスナップショットの作成に使う機能だが、差分が増えるとパフォーマンスが低下してしまった。これも、Windows Server 2008 R2では大幅に改善。差分ディスクの数が増えても、パフォーマンスは低下しないようになった。

 Windows Server 2008 R2の発売は当初は2010年の予定とされていたが、ここ最近の発表を総合すると、10月22日が発売といわれるWindows 7と同時もしくはその直後くらいとなりそうだ。サーバ仮想化を導入していたり、これから導入予定の企業、そして二酸化炭素削減や電気代の節約を考えている企業は、Windows Server 2008 R2の導入を検討してはどうだろうか。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ