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東芝dynabook UXにみる、Netbookの上質

2009年06月24日 10時00分更新

文● 石井英男

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道具だから、快適に使いたい

 Netbookはこれまで、パソコンに詳しいユーザーが持つセカンドマシンという印象が強かった。しかし、実際にパソコンを使っている人を見てみると、いわゆるパソコンマニアの割合はそれほど多くはない。メインの趣味はパソコン以外だが、その趣味についての情報をネットで収集したり、ネットオークションや動画共有サイトにハマっている人の割合が増えている。つまり、パソコンというよりはネットをヘビーに活用したいユーザーが増加しているのだ。

 こういったユーザーにとってNetbookは魅力的な選択肢に見える。しかしながら、これまでのNetbokは低価格化のために機能の一部を削っている機種も多く、知識がないと使いこなせない面も感じられた。買ってはみたが、HDDの容量が足りない、画面が狭い、バッテリーが持たないといった不満に後から気付くケースもあっただろう。

 その中で、dynabook UXは価格・操作性・仕様のバランスを重視した実のとれた構成になっている。特に、ストレージ、キーボード、バッテリー寿命などモバイルで使う際に重要な機能に妥協していない点がいい。また、WordやExelを活用したい場合は「Microsoft(R) Office Personal 2007」の2年間ライセンス版搭載モデルも用意されている。部屋を移動しながら、あるいは外出先などでネットにアクセスして、さまざまな情報を入手したり、ブログやSNSなどでコミュニケーションを取るといった使い方にマッチする。

 パソコンはあくまでも目的ではなく手段であり、快適に使えることが何よりも重要なのだ。

入力へのこだわり


 dynabook UXは、東芝が誇る世界のブランド「dynabook」を冠する製品であり、その名に恥じないこだわりが随所に見られる。デザインについてのこだわりはすでに紹介したが、それ以上にこだわっているのが、入力のしやすさだ。


dynabook UXのキーボード。キートップとキートップの隙間が広い、タイル形状のキーボードを採用しており、爪がひっかかりにくい

 Netbookは、ボディサイズに制限があるため、キーボードにしわ寄せが来ることが多いが、dynabook UXでは、入力のしやすさにこだわった新型キーボードを搭載。フルサイズノートPCにも劣らない、入力のしやすさを実現している。

 dynabook UXでは、キートップとキートップの隙間を広げた、タイル形状のキーボードを採用している。一般的なキーボードでは、キートップの周囲が横から見ると台形になっており、キートップとキートップの隙間も狭いため、爪がキートップにひっかかってしまうことがあった。dynabook UXのキーボードは、キートップの側面が垂直に近く、キートップとキートップの隙間が広いので、爪がひっかかる心配はない。キーピッチも19mmと余裕があり、手の大きな人でも快適にタイピングが可能だ。キーストロークは1.6mmで、キータッチもしっかりしている。

 タッチパッドが大きく、パームレストがゆったりしていることも嬉しい。タッチパッドのクリックボタンも、一般的なノートPCと同じように手前に配置されており、ボタン自体も大きいので、非常に操作しやすい。タッチパッドの表面にも、液晶周囲と同じように斜めのストライプ模様が施されているが、これも細部まで手を抜かないこだわりの現れだろう。


主要部分のキーピッチは19mmと広いが、右側の一部のキーピッチはやや狭くなっている。上矢印キーの左右にスペースが空いているので、タイプミスも減らせるタッチパッドが大きく、操作性は良好だ。クリックボタンがタッチパッドの手前に配置されているので、一般的なノートPCのタッチパッドに慣れている人でも、違和感なく利用できる。タッチパッドの表面にも、斜めのストライプ模様が施されている

 そうした中で、dynabook UXの立ち位置は絶妙である。国内PCメーカーの雄である東芝製品という「安心感」、新型キーボードや見やすい液晶を搭載したことによる「道具としての使いやすさ」、隅々までこだわった質感の高いボディがもたらす「所有する喜び」のすべてを高いレベルで満たしている。

 海外メーカーのNetbookは、OSをプレインストールしただけの状態の製品が多いが、dynabook UXには、東芝オリジナルのユーティリティソフトや実用的なアプリケーションが多数プリインストールされている(囲み参照)。また、本体がスタンバイ状態やシャットダウン状態でも、USB機器への給電が可能なUSB給電機能を搭載。専用ユーティリティーで設定すれば、ACアダプターをつないでいない状態で本体の電源をオフにしても、USB給電が可能なので、ポータブルオーディオプレイヤーやケータイを充電する際に大変便利だ。さらに、内蔵の3D加速度センサーによって衝撃や落下などを検知し、HDDの磁気ヘッドを自動的に待避させる「東芝HDDプロテクション」の搭載も特筆に値する。本体の重量は約1.18kg(標準バッテリーパック装着時、大容量バッテリーパック装着時は約1.33kg)と軽量なので、モバイル用途で使いたいという人にもオススメだ。

 dynabook UXは、dynabook譲りの高い信頼性と使い勝手のよさ、サポートの充実度など、トータルで判断して、非常に完成度の高い製品であり、Netbookの購入を考えている人にとっては有力な選択肢となるだろう。

東芝オリジナルユーティリティー


左側面のUSBポートは、USBスリープアンドチャージ機能に対応しており、シャットダウン時でもUSB給電によって機器の充電が可能だ

 dynabook UXには、東芝オリジナルの便利なユーティリティーソフトや実用的なアプリケーションソフトが多数プレインストールされている。そこで、その中から代表的なものを紹介しよう。

 dynabook UXには、3D加速度センサーによって衝撃や落下などを検知すると、自動的にHDDの磁気ヘッドを待避させる「東芝HDDプロテクション」機能が搭載されているが、専用ユーティリティーによって、その設定を自由に変更できる。衝撃などの検出レベルは、3段階に変更でき、バッテリー使用中と電源接続中で検出レベルを変えることも可能だ。

 また、左側面のUSBポートは、本体がスタンバイ状態やシャットダウン状態でも、USB機器への給電が可能なUSB給電機能(USBスリープアンドチャージ)に対応している。また、ネットワーク環境の診断や管理/切り替えを行なう「ConfigFree」も便利だ。Windows XPはVistaに比べると、OS標準のパワーマネージメント機能が弱いが、独自のパワーマネージメントユーティリティーがプレインストールされており、きめ細かなパワーマネージメント設定ができる。

 さらに、辞書ビューアの「デ辞蔵PC」および辞書「旺文社 英和中辞典・和英中辞典・国語辞典・カタカナ語辞典」や音声認識/音声合成ソフト「LaLaVoice」といった、実用的なアプリケーションが付属していることも嬉しい。

「東芝HDDプロテクション」設定ユーティリティを使うことで、東芝HDDプロテクション機能のオン/オフや、検出レベルの変更が可能「東芝USBスリープアンドチャージユーティリティ」によって、USBスリープアンドチャージ機能のオン/オフや給電モード、バッテリ駆動時も有効にするかどうかを設定できる
東芝オリジナルのネットワーク管理ユーティリティ「ConfigFree」。ケーブルを抜き差しするだけで接続や設定を自動的に切り替えたり、トラブルの診断などが可能パワーマネージメントユーティリティでは、OS標準のパワーマネージメント機能よりも細かな設定が可能だ

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